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【埼玉】

浮世絵師テーマに小説 「退職後文学」に夢中 さいたまの伊原さん

数千冊の書籍、資料に囲まれ執筆する伊原勇一さん=さいたま市見沼区で

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 若いころの夢をリタイア後に実現したいと願う人も多いはず。絵画や音楽、スポーツなどさまざまな分野がある中で「退職後文学」にはまったのが、さいたま市の伊原勇一さん(64)。江戸時代の浮世絵師を主人公に相次いで小説を発表し、第一作は版を重ねた。「書くことが三度の飯よりも好き」と、早くも次作の構想を練る。 (田口透)

 県立高校の国語科教師を五十六歳で早期退職、還暦の記念にと三年前にまとめたのが第一作「反骨の江戸っ子絵師 小説・歌川国芳」(文芸社)。第二作の「喜多川歌麿 青春画譜」(同)も一月に出版される。

 小説や漫画が大好きで、高校時代は仲間とガリ版刷りの同人誌を発表。大学時代も文学新人賞などに応募していたが、就職後は仕事も忙しく遠ざかっていた。

 きっかけは四十代後半に講師をした市民講座。大学の専攻が日本の近世文学だったため「江戸のユーモア」をテーマに、浮世絵、黄表紙本などを全八回取り上げた。講座のため収集した浮世絵の膨大な資料を読み、面白さに取りつかれた。

 「奇想の画家」国芳の反骨精神、途方もない想像力にひかれて出版した第一作は、重版と好発進。次作は歌麿の青春時代をテーマに今年四月に着手した。直後に狭心症と診断されたものの、体調不良の中で書き進めた。

 錦絵の創始者、鈴木春信を主人公にした第三作もほぼ完成しており、出版を待つばかり。第四作も歌麿の後半生を軸に年明けには執筆を始めるという。

1月に出版される「喜多川歌麿 青春画譜」(手前)と第1作「反骨の江戸っ子絵師」

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 自ら締め切りを定め、午前八時から午前中いっぱい執筆。午後は資料の読み込みや、新聞の切り抜きなどに費やす日々。妻で人形作家軌子(のりこ)さん(63)も全面支援するが「体だけが心配」という。

 読書、映画が大好きな伊原さんが十年前から週三回書いている私家版読書日記も近く千五百号に達する。

 「創作は何もなかったところに世界を構築するという最高に楽しい自己表現。若いころに抱いた夢を大切にしたい」と、膨大な本や資料に囲まれ、パソコンに向かった。文芸社=電03(5369)3060。

 

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