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【埼玉】

<見て学んで楽しむ 彩の国 産業観光> (4)彩の国 醤遊王国本店(日高市)

直径・高さともに2.3メートルの木桶の中でもろみを仕込む=日高市で

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 うま味と甘味を凝縮した香りが口の中に広がり、箸が止まらなくなった。日高市の「彩の国 醤遊(しょうゆ)王国本店」の軽食コーナー。「しぼりたて生しょうゆ」を味わいたくて、たまごかけごはんを注文した。備え付けの「食べ方」に従い、まずは熱々ご飯にターラタラ。たまごをご飯に落として醤油(しょうゆ)を加え、せわしなくかき混ぜると数分で完食した。

 「国産の丸大豆を使用したり、杉の木桶(おけ)の中で熟成させたり…、さまざまな工夫があるのですよ」。中村豊店長(39)が、少し誇らしげに笑った。

 醤遊王国は、一九二三(大正十二)年創業の弓削多醤油(本社・坂戸市)が運営する製造工場兼商品販売施設。広く見学者を受け入れ、訪れた人は醤油の製造工程の見学やもろみの搾り体験のほか、もろみを仕込む木桶(観賞用)で遊んだりできる。

 工場ができたのは約二十年前。創業の地に近く、同様に秩父山系のきれいな地下水に恵まれた点が立地の決め手になった。一般見学は約十年前に導入した。大手乳製品会社の集団食中毒事件があり、四代目当主の弓削多洋一社長が「醤油は安心して口に入れられるものでなければならない」として消費者に製造工程を見学してもらう決断をした。

たまごかけごはんを引き立てる「しぼりたて生しょうゆ」と「醤油ソフトクリーム」

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 大手醤油メーカーとは一線を画す味へのこだわり。丸大豆は「丸ごと使用」を意味し、醤油造りで一般的な「油を抜いた大豆」と比べ、香りが良く甘味を引き立てる。

 木桶(直径約二・三メートル、高さ約二・三メートル)には酵母菌と乳酸菌がすみ着き、一般的なステンレス製の桶には出せない風味を醸し出すという。

 「工場の仕込み蔵には二十九の木桶があり、ガラス越しにもろみが発酵していく様子を観察できます」と中村さん。蔵につながる管を通し、発酵中のにおいを嗅ぐこともできる。五〜六月にはスピーカーを通して「発酵音」に耳を澄ますこともできる。

 見学行程には従来の英語に加えて昨年、中国語の看板を設置。二〇二〇年東京五輪・パラリンピックで、訪問客が増えることを見越しての措置だ。

 中村さんは「日本の伝統食品である醤油を世界にアピールする格好のチャンス。他にもさまざまな策を検討している」とさらなる進化を目指す。 (加藤木信夫)

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<彩の国 醤遊王国本店> 日高市田波目804の1。見学は平日が1日5回、土日祝日は7回。当日受付で申し込む。営業時間は午前9時〜午後5時。問い合わせは、フリーダイヤル(0120)417059へ。

 

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