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【埼玉】

<見て学んで楽しむ 彩の国 産業観光> (6)武州中島紺屋(羽生市)

藍甕にハンカチをつける児童たち=羽生市で

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 「においが強かったけど、楽しかった」

 昨年十一月下旬、羽生市の藍染め業「武州中島紺屋」の工房。藍独特のにおいが漂う「染め場」で、児童たちがそれぞれ白いハンカチを藍甕(がめ)につけ終えて満足げに話した。

 千葉県柏市から訪れた大津ケ丘第二小学校の五年生六十一人。講師の一ノ瀬健一さん(65)から染め方を教わった。ハンカチは染色前に折って輪ゴムで縛ってある。折り方や縛り方を変えることで、最終的に五重丸やしま模様などの柄が出来上がる。

 児童たちは染色後に室外の干し場に移動。ハンカチから輪ゴムを外し、ロープにぶら下げると、やがて柄の緑の部分が青へ。染められた部分が空気にさらされることで変色するのだ。

 「ごしごし洗ってぎゅっと絞ってください」

 一ノ瀬さんの助言に従い、ハンカチを水槽で洗い、きつく絞ると、柄の青と白の境目がくっきり現れた。初めて藍染めを体験したという吉井乙葉さん(11)は「上出来だと思います。機会があったら、またやりたい」と笑顔を見せた。

伝統の技を引き継ぐ武州中島紺屋と職人の新島大吾さん

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 武州中島紺屋は一八三七(天保八)年に創業し、百八十年の歴史を誇る。四代目の中島安夫さん(故人)が伝統技術を守り、後進の育成にも尽力した。現在は職人で埼玉県認定伝統工芸士の新島大吾さん(41)が技を引き継いでいる。

 新島さんによると、見学・体験は二十年ほど前から続く。受け入れはここ十年で一・五倍ほど増え、近年は年間約二万人。主に小学五年生の団体が社会科の授業の一環で県内外から訪れる。引率者の教師の中には、自身が小学生の時に来たことがある二十、三十代の若い教師もいるという。

 外国人も増えており、団体は中国人やオーストラリア人、個人では欧米の旅行者が目立つ。敷地内は高齢者や体が不自由な人のために段差をなくすなどバリアフリー化もしている。

 新島さんがこの道に進んだのは東京の服飾専門学校に通っていた時、講師として訪れた中島さんと出会ったのがきっかけ。藍染めの美しさに魅了され、中島さんに師事した。

 かつて藍染め業は羽生市の一大産業だったが、現在は市内に四業者だけ。そんな中、新島さんは見学・体験の意義を語る。「子どもたちの記憶に残ればいい。体験を通して藍染めのことを知ってもらうことが財産になり、裾野が広がる」 (中西公一)

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<武州中島紺屋> 羽生市小松223。敷地内には資料館もある。見学、体験は午前10時〜午後3時。体験料金はハンカチ染めの場合、材料費込みで800円。土日、祝日のほか、年末年始などは休み。予約、問い合わせは電048(561)3358へ。

 

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