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【埼玉】

郷愁誘う農民人形 故渡辺うめさん作品展 川越で29日まで

渡辺うめさんの人形と、長女の石野真菜さん=川越市で

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 二〇一四年に百七歳で亡くなった農民人形作家渡辺うめさん(兵庫県明石市)の作品展「あぜみちの詩(うた)」が十一日、川越市新富町のギャラリー「ROOM」で始まった。二十九日まで。七十五歳から本格的に人形作りを始めた渡辺さんは、和服を着ていた時代の農村の暮らしを情感のある作品で表現。子守をしながら遊ぶ子どもたちなど、今は失われた農村の原風景が郷愁を誘い、全国にファンが多い。

 展示されているのは、長女の陶芸作家石野真菜さん(日高市)が所蔵している農民人形作品約三十点のほか、古布で作った「布絵」など。

 渡辺さんは一九四四年、米軍の空襲が激しくなった東京から兵庫県宿南村(現養父市)に疎開。戦後も無医村の診療所で看護師を続けた。夫と死別した八二年、七十五歳になってから本格的に人形作りを始めた。一家総出で作業していた時代の農村の情景が評判を呼び、たびたびテレビにも取り上げられた。

 人形の着物やござなどもすべて手作り。機械化される以前の農機具を残したいという思いも強く、三分の一や六分の一の縮尺で忠実に再現した農具は現物の通りに動く。

 授乳している母親の人形を好んで作ったのは「農家のお嫁さんが農作業を休んでひと息つけるのは、授乳するときだけだった」(石野さん)からという。どの人形も柔和な表情なのが渡辺さんの作品の特徴。「農家の人たちが、つらい作業なのに満ち足りた表情をしているのは、家族で助け合い、寄り添って生きているからと母が気付いたからです」と石野さんは言う。

 ギャラリーを主宰する陶作家のはらかおりさんは「高齢化が進む社会で、今からでもやればできるんだというメッセージを送りたい」と話している。問い合わせはROOM=電070(3544)6168=へ。水曜定休。 (中里宏)

 

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