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【埼玉】

父母に恩返し、世界へ デフサッカー日本一・入間の鈴木さん

入間市役所を表敬訪問した鈴木大輝さん(左)と田中龍夫市長

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 昨年九月の全国ろうあ者体育大会に県デフサッカーチームの主将として出場し、十四年ぶりの「日本一」に導いた大学二年生の鈴木大輝さん(20)=入間市在住=が、十三日から静岡県で始まるデフサッカー日本代表合宿に参加する。代表入りを果たせば、二〇二〇年デフワールドカップアジア地区予選(四月下旬、韓国・釜山)に帯同できる。八日に成人式を迎えたばかりで、支えてくれた父直文さん(55)と、看護師の母尚子さん(48)への「恩返し」にもなりそうだ。 (加藤木信夫)

 鈴木さんは生まれつき聴覚に障害があり、右耳に重度難聴用の補聴器を装着、左耳には四歳のとき人工内耳を埋め込んだ。

 人工内耳を通して聞く音は機械的な合成音で、しっかりとしたリハビリを経て、徐々に聞き取れるようになる。鈴木さんは現在、通常の会話が可能だという。

 サッカーを始めたのは四歳のときだ。三歳年上の兄のプレーにあこがれ、地元少年団でプレーを続けたが、中学で入部にストップをかけられてしまう。

 「顧問の先生に、補聴器を着けていると試合に出られない(ルールがある)と言われた。当時は補聴器を外し、聞こえなくなることに恐怖心があった」

 やむなく卓球部へ。でもサッカーへの愛着は断ち切れない。昼休みには友人とボールを蹴った。息子の思いを察した柔道整復師の直文さんがサッカーに親しめる場を探し、鈴木さんが高校生になったとき、デフ競技の存在を伝えてきたという。

全国ろうあ者体育大会を制した県デフサッカーチーム。左上が主将の鈴木大輝さん(入間市提供)

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 右サイドバックとして出場した全国大会での活躍を評価され、昨秋、代表合宿に初参加した経験が、大きな転機になりそうだと鈴木さんは感じている。「当たり負けしない持ち味を、代表選手を相手にしても出せた。スピードも引けを取らなかった。不足している技を身に付けて世界で戦ってみたい」

 先月、入間市役所に田中龍夫市長を表敬訪問した際には「日本の守備選手といえば鈴木だ、と言われるように頑張りたい」と熱く語り、田中市長からは「市の誇り。私が応援団長になるので頑張って」とエールを送られた。

 代表合宿に向け、地元のスポーツジムに通い、肉体改造に取り組む。実戦練習の機会を増やそうと、社会人チームなどに受け入れを依頼し続けている。

<デフサッカー> 聴覚障害者のサッカー。競技中は補聴器を外すことが義務付けられ、プレー中はアイコンタクトや手話などでコミュニケーションをとる。審判は笛だけでなくフラッグも使用して、選手たちに状況を伝えながらゲームを進める。日本代表は4年に1度のデフリンピックや世界選手権(デフワールドカップ)での活躍を目指している。

 

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