東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 埼玉 > 記事一覧 > 1月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【埼玉】

台風21号被害 ずさんな危機管理 川越市、内部検証会議が報告書

内部検証会議の報告を発表する川合善明市長(右)=川越市役所で

写真

 昨年十月の台風21号で、川越市とふじみ野市に大きな浸水被害が出た問題で、川越市は十七日、市内部の情報伝達や市民への発信など、初動対応が不適切だったとする内部検証会議の報告書を発表した。市の危機管理意識の欠如や無策ぶりが、改めて浮き彫りになった。 (中里宏)

 報告書によると、市の幹部らに大雨で市街地にあふれた水の水位が上昇するとの認識がなく、現地に派遣された職員から「腰まで冠水」「消防が救助開始」との連絡が入っても、市役所の幹部会議が重要性を認識できず、住民への支援を検討しなかった。

 昨年十月二十二日から二十三日にかけて大雨となった台風21号では、新河岸川の水位が上昇し、川越市寺尾地区などの雨水を川に排水する都市下水路の水門が二十三日午前一時すぎ、川からの逆流を防ぐため自動で閉鎖。行き場を失った雨水が寺尾地区と、隣接のふじみ野市元福岡地区にあふれ出し、寺尾地区で床上浸水二百四十六戸(うち半壊二十八戸)、元福岡地区で床上浸水二百二戸の被害が出た。

 多くの市が市長を本部長とする災害対策本部を設置して対応したが、川越市は部長級の危機管理監が主宰する災害対応部長会議にとどめ、市長は自宅で待機していた。下水路の水門が閉まったことは市河川課が把握していたが、部長会議には報告されず、ふじみ野市にも連絡されなかった。

 ふじみ野市では市街地の水位上昇を想定して、二十二日午後六時半すぎには元福岡地区に避難準備情報を出していた。川越市は消防のボートによる救助の情報が伝えられた後も、寺尾地区に何の情報も発信していなかった。

 一方、現地調査班は二十三日午前一時すぎから、寺尾地区の浸水状況を電話や写真付きメールで市役所の本部班に送っていた。だが、部長会議に報告されなかったり、資料の一部に記載されたりしただけで、会議では検討されなかった。

 内部検証会議は、これらの要因を「誰かが報告しているだろうと、あえて報告しなかったり、情報が要約されるに従って切迫性が薄れたりして、会議出席者に深刻さが伝わらなかった」としている。

 川合善明市長は「内水(市街地の水)に対する認識が不十分で体制も不十分だった。市長としての責任を痛感している。組織体制の見直しをハード面も含めて対応していきたい」と述べた。

◆市の「災害対策本部」 大震災でも設置せず

 川越市が市長を本部長とする災害対策本部を設置したのは一九九八年八月、約七百三十戸が床上浸水し、国の災害救助法が適用された集中豪雨の一回だけだった。

 二〇一一年三月の東日本大震災でも、多くの市が「体験したことのない大地震」として、市長を本部長とする災害対策本部を設置したが、川越市は「設置基準は震度5強。川越市は震度5弱だった」として設置しなかった。このときは川越駅など市内の駅が帰宅難民であふれ、混乱が夜まで続いた。

 台風21号の初動対応についての内部検証会議は「非常時の情報共有や指揮命令系統を整理し、認識させる必要がある。防災危機管理室への計画的な人員配置で人材育成が必要」などと、市の危機管理体制の不備を指摘した。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報