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【埼玉】

「秩父吉田の龍勢」伝承の力に 県内8件目の重要無形民俗文化財

昨年10月、大勢の観客が見守る中で打ち上げられる龍勢=秩父市で

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 十九日の文化審議会で、重要無形民俗文化財への指定が答申された「秩父吉田の龍勢」(秩父市)。指定は県内八件目で、火薬を使った打ち上げ式の煙火の行事は全国で初めてとなる。過去には火薬ゆえの痛ましい事故もあった龍勢。地元の小学校では、次の世代に伝統を引き継ぐ取り組みが続けられている。 (出来田敬司)

 秩父吉田の龍勢(龍勢祭)は、秩父市吉田地区で毎年十月の第二日曜日に開かれる椋(むく)神社の祭礼だ。松の丸太の中に火薬を詰め、五穀豊穣(ほうじょう)や天下太平を願いながら、龍勢と呼ばれる煙火をロケットと同じ原理で打ち上げる。

 龍勢は全長約二十メートル、重さ三十〜四十キロ。打ち上げると約三百メートルの高さまで飛び上がる。起源は詳しくは分かっていないが、明治八(一八七五)年とも江戸時代後期にさかのぼるともいわれる。現在は、地区を単位とする二十七の流派が計三十発を打ち上げる。

 祭礼の存続にあたって何度か困難があった。一九六四〜七一年にかけて、地域経済の低迷で支援するスポンサーが少なかったことから、打ち上げが中止に追い込まれた。

 二〇〇七年には龍勢が客席に落ち、観客の男性を直撃、肩甲骨骨折の大事故を引き起こした。以降、発射台と観客席の間に防御用のネットを張るなど安全対策を講じた。

 一方、一一年には秩父を舞台にしたテレビアニメ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。(あの花)」のワンシーンで龍勢が登場。祭礼で「あの花」の名を冠した龍勢が打ち上げられるようになり、観賞に訪れる若いファンが増えた。

 吉田龍勢保存会の新井徳弘会長は「重要無形民俗文化財の指定はうれしいが、プレッシャーも感じる。安全に気を配り、伝統を守りながら、龍勢を引き継ぐ後継者を育てていきたい」と話した。

◆末永く守り伝える

<久喜邦康市長のコメント> 「秩父吉田の龍勢」が国の重要無形民俗文化財の指定を受ける運びとなり、大変喜ばしく存じます。秩父市民、吉田龍勢保存会、ならびに関係者の皆さまとこの喜びを分かち合い、地元市長として、貴重な国民共有の財産となる龍勢を末永く守り伝えていきます。

 

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