東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 埼玉 > 記事一覧 > 2月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【埼玉】

早くカエル 教員の意識変化 県内でも負担軽減に動き

教員たちは各自の机の上に、その日の帰宅予定時間を掲げるようになった

写真

 教員の長時間労働が問題になる中、県内でも「働き方改革」に取り組む学校や市町村が増えている。今までは正確に分からなかった勤務時間をタイムカードで記録し、教員を補佐する業務アシスタントや部活動指導員の雇用も進む。実際の効果は未知数だが、現場では意識の変化が生まれ始めている。 (井上峻輔)

 「三クラス×四十枚。保健のテストです。両面でお願いします」

 伊奈町立小室小学校の職員室。机の一角にある「お仕事お願いシート」には、教員からの印刷依頼が連日書き込まれる。シートに目を通した吉野文雄さん(67)は、一緒に置かれたテストの原本を持つと、印刷機のある部屋へと向かった。

 吉野さんは教員ではなく、伊奈町が昨年七月に雇用した「業務アシスタント」。小室小には毎日二人のアシスタントが出勤し、教員からの依頼を受けて、プリントの印刷や教材の準備、校内の清掃など補助作業に当たる。

 「午前中は印刷業務だけで終わることもある」と吉野さん。大量の配布物の印刷作業は、日中は子どもから目を離せない教員にとって大きな負担だった。

 加藤浩之校長(57)は「朝早く出勤したり夜遅くまで残って作業する教員もいた。今は手伝ってもらって空いた時間で別の仕事をするのではなく、早く帰るように教員たちに呼び掛けている」と語る。

 伊奈町は本年度、県から学校現場業務改善の重点モデル地域に指定され、一年間かけて勤務時間を減らすための取り組みを進めてきた。業務アシスタントの導入も、その一環だ。

 昨年四月からは、町内の全小中学校の職員室にパソコンとカードリーダーを置いた。教員は出退勤時にICカードをかざし、勤務時間を記録する。民間企業では当たり前の光景だが、学校現場では正確な勤務時間は把握されていなかった。

 実際の勤務時間が短くなったかはまだ分からない。町内の全小学校の時間外勤務時間の平均は、昨年六月の三時間七分から、十月は二時間五十一分になった。変化がわずかなことに加え、「時期によって忙しさが違うので評価しづらい」と町の担当者。昨年まで勤務時間を把握していなかったことも、比較を難しくしている。

 それでも、変化はある。小室小では教員たちが自らの業務の見直しを話し合う会議を、定期的に開くようになった。そこで出されたアイデアから、日直の教員が一人で三十分以上かけていた校内の見回りは、手分けして行うようにした。職員室の各自の机には、カエル(帰る)のイラスト付きのデスクサインを設置。その日の退勤予定時間を掲げ、教員同士で早めの帰宅を促している。

 加藤校長は「どうしたら効率的に仕事できるかを自分たちで考えるようになった。意識の変化は大きい」と成果を強調する。

◆県内各自治体 夜間留守電導入など

 教員の負担軽減は、ほかの自治体でも取り組まれている。

 志木市は昨年十一月から、市内すべての小中学校に留守番電話を導入した。今までは教員が残っている限り、夜でも電話対応をしていて、帰宅時間が遅くなる一因になっていた。

 小学校は午後六時、中学校は七時以降は留守番電話に設定。市の担当者は「決まった時間以降は電話に出る必要がないので、教員が自分の仕事に集中できて早く帰れる」と語る。

 さいたま市は新年度から、教員に代わって部活の指導や引率ができる「部活動指導員」を一部の中学と高校に配置する。夏休み中に補習や部活を行わず、教員が出勤しない日を三日間設けることや、タイムカードの導入も決めた。

 これらの対策は、昨年十二月に文科省がまとめた働き方改革の緊急対策に盛り込まれていて、今後も各地で導入が進みそうだ。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報