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【埼玉】

<ひと物語>中米との懸け橋に ホンジュラスコーヒー販売・高橋祥子さん

自ら焙煎した豆を紹介する高橋さん=さいたま市見沼区で

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 カップから漂う香ばしい匂いに誘われ熱々のコーヒーを口に運ぶ。ほろ苦さと程よい酸味が広がる。「バランスが良く日本人に好まれる味なんです」。さいたま市見沼区で、ホンジュラスコーヒーの直輸入販売「プンタルト」を営む高橋祥子さん(56)が、自慢げにほほ笑んだ。

 国際協力機構(JICA)に勤める夫と共に、二〇一五年まで二年間暮らしたホンジュラスから仕入れた豆を、県内のコーヒー専門店を中心に卸しているほか、インターネットなどで注文を受ける。

 仕事場は自宅の六畳間。焙煎(ばいせん)機や生豆が所狭しと置かれたこの場所を拠点に、仕入れから営業、販売までを全て一人でこなす。

 国土の約八割をコーヒー栽培に適した山岳・高原が占めるホンジュラス。その中でも「マルカラ」というニジェール川近くの土壌が豊かで、降水量が多い土地で栽培された豆のみを扱っている。

 当時、コーヒーは食後に飲む程度だった。ホンジュラスに移住した日本人の友人に勧められ、初めて現地の農家から直接買ったコーヒー。その味に「何杯でも飲める」と感動を覚えた。

 以来とりこになり、農場の見学に行くまでになった。交流を深めるうちに「待遇が悪く、若者がなりたがらない」というコーヒー農家の窮状を知った。

 事業にはフェアトレード(公正貿易)の狙いがある。現地で雇っていた家事手伝いは十代で出産したシングルマザー。街にはギャングが歩き、夫の同僚が襲われたこともあった。

 「品質には絶対の自信がある。適正な価格で買ってもらえたら、ホンジュラスで暮らす人々が潤う」。その思いで「日本への販路はなかった」というマルカラの豆を売ろうと決めた。

 コーヒーの知識は「素人同然」。大手コーヒーメーカーが開催する講習に通い、焙煎方法や味の見分け方などを猛勉強。それでも不安はぬぐえなかった。

 だが飛び込みで営業をした専門店の反応は違った。「後味が爽やかで、おいしい」と太鼓判を押された。今では定期的に仕入れてくれる「得意先」もできた。

 「現地を知っているから思いは強い。少しでも多くの人に飲んでほしい」。これからもコーヒーを通じて、ホンジュラスとの懸け橋であり続けるつもりだ。

 豆の販売は生豆と焙煎豆の二種類。個人向けは生豆は百グラム三百円から、焙煎豆は七百五十円から。営業時間は午前九時〜午後五時。問い合わせはプンタルト=電048(688)1440=へ。(牧野新)

 <たかはし・しょうこ> 米国・ニューヨークやドミニカ、エルサルバドル、ホンジュラスで計9年半の海外生活を経験。ホンジュラスではボランティアで現地の人に日本語を教えた。元客室乗務員で、2人の娘も同じ道を歩んでいる。山形県出身、さいたま市見沼区在住。

 

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