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【埼玉】

AI活用へ積極投資 県18年度予算案

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 県は十三日、二〇一八年度当初予算案を発表した。上田清司知事が「未来への投資予算」と名付けた案には、一つ一つの予算額は小さいものの、先端技術と結び付いた社会を目指す事業が並ぶ。キーワードは人工知能(AI)だ。 (井上峻輔)

◆メガネが摘果判断

 特殊なメガネで梨の木を見ると、間引きするべき実をAIが教えてくれる−。そんな装置の開発に四百七十七万円を盛った。

 全国九位の生産量(一六年)を誇る埼玉のナシ。農家の大きな負担なのが、栄養を分散させないために不要な実を間引く「摘果」だ。広大な果樹園を回り、一つの枝についた八つほどの実の中から残すべき一つを決めないといけない。

 人手の足りない農家では、この作業のためにアルバイトを雇うこともある。若い後継者も摘果の技術の習得は欠かせない。熟練者なら一つの枝にかける時間は二秒ほどだが、素人に判断は難しく、教えるにも人手や時間がかかる。

 メガネ型の装置は、実の位置関係や大きさ、形などから、どの実を残すかをAIが判断してレンズに表示。膨大な量の写真からAIが学習することで、素人でも熟練者と同じ判断が可能になる。実用化まで三年ほどをかける予定だ。

◆救急相談や婚活も

 医療の世界も変わる。急病やけがの際に医療機関を受信するべきかをアドバイスする「救急相談」。現在は看護師が電話で応対しているが、AIが応対する全国初のシステムを開発する(予算額五千万円)。

 相談者はスマートフォンなどの画面上で、AIと文字で「会話」をする。一問一答形式で、症状を伝えたり、質問に答えるとAIが対処法の助言や病院紹介をしてくれる仕組みだ。

 電話相談は二十四時間体制だが、時間帯によってはつながりにくかった。県の担当者は「文字の方が症状を具体的かつ論理的に伝えられる場合もある」と語る。一八年度はまず、過去の電話相談の履歴を基に会話パターンや症状別の対処法をAIに学習させる。

 AIを使った結婚支援も始める(同三千三百万円)。県が開設する「出会いサポートセンター」にプロフィルや相手に求める条件を登録すると、AIが過去の統計から成婚可能性の高い相手を紹介する。結婚支援は民間業者もあるが、県の担当者は「県がやるので安心感があり、安価に利用できる」と話す。

◆「スマート社会」へ

 予算案にはほかにも、工場内の音や振動から故障の兆候を見抜く「故障診断システム」の開発や、県庁内の業務をAIで効率化する事業などが並ぶ。

 上田知事は記者会見で「予算編成段階で、各課にAIに関わる政策を一つずつ出すように指示した」と明かした。県財政課によると、AIやロボット、あらゆるモノをインターネットでつなぐIoT(モノのインターネット)などの先端技術に関連した予算額は、前年度の六億円から十四億円に増えた。

 目指すのは最新技術を活用した「スマート社会」への転換。上田知事は今回の予算案をその入り口と位置付ける。開発段階の技術が多いことを認めつつ「今の時点で可能なことをできるだけやっていこうという考え方だ」と述べた。

◆一般会計は1兆8657億円

 二〇一八年度当初予算案の一般会計は一兆八千六百五十七億円。前年度比0・1%増で、一九九八年度、二〇一六年度に次ぐ過去三番目の規模になった。

 歳入の柱となる県税収入は前年度並みだが、法改正によるさいたま市への税源移譲の影響が大きく、実質は3・6%増えた。県債の発行額は前年度比3・9%減の二千三百五十七億円になり、財源調整のための基金の取り崩しも前年度より四十二億円少ない六百四十億円になっている。

 一八年度末の県債残高は三兆八千三百九十五億円の見込み。基金も減少が続き、財政課の担当者は「最近は取り崩した基金を復元し切れていない」と語る。

 上田知事は会見で「高齢化などで民生費は、ある程度伸びざるを得ない。企業誘致などの積み重ねで税収を増やしてより強い財政にしていく」と語った。予算案は二十日開会の県議会二月定例会に提出される。

 

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