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【埼玉】

三ない運動廃止 通学時以外、乗車OK

小松教育長(右)に報告書を手渡す検討委員会の稲垣会長=県庁で

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 関東地方で唯一、県立高校生のバイク乗車を禁じる「三ない運動」(免許を取らせない、買わせない、運転させない)を堅持してきた県が、通学時以外の乗車を認める方向に転換する。学識経験者らでつくる検討委員会が、運動の廃止を提言する報告書をまとめた。県教育委員会は今後、報告書を基に新たな指導要項を策定する。(井上峻輔)

 「三ない運動」は、暴走族や交通死亡事故が増加した一九七〇年代後半から全国各地の高校で実施され、県の指導要項にも八一年に盛り込まれた。すべての県立普通科高校は、特別な理由がある生徒を除き、通学時だけでなく放課後や休日もバイク利用を禁じている。

 「高校生の命を守るという意味で効果があり、生徒や保護者の理解も得てきた」と県教委の担当者。八〇年に千五百五十七人だった高校生のバイク事故死傷者は、二〇一六年には六十八人まで減った。

 一方で、見直しを求める声も上がっていた。暴走族の減少など社会環境の変化に加え、課題となっていたのが隠れてバイク免許を取得する生徒の存在。バイクに乗らないことが前提の「三ない運動」では、正確な人数が把握できず、十分な交通安全教育も行えなかった。

 全国的にも「バイク利用を認めた上で安全教育に力を入れる」という考え方が主流になっている。文科省の一四年の調査では、現在も「三ない運動」を推進している都道府県は半分以下。関東地方では、一五年に群馬県が運動を廃止したことで、続けているのは県だけになった。

 県は一六年十二月に学識経験者や教育関係者らで構成する検討委員会を設置し、「三ない運動」について議論を重ねてきた。委員からは「廃止すれば免許取得者を把握しやすくなる」という声の一方で「廃止して免許取得者が増えれば事故の増加が懸念される」といった意見も出たという。

 最終的な報告書は、「三ない運動」を廃止してバイク利用を認めた上で、学校への届け出や任意保険の加入など一定の制約を定めることを県教委に要請。免許取得者に対する安全講習の実施も求めた。通学に関しては従来通り「特別な事情がある場合のみ認めることが望ましい」とした。

 検討委の会長を務めた日本大の稲垣具志助教は「高校生が交通事故の当事者とならないための一助にしてほしい」と期待する。報告書を受け取った小松弥生教育長は「ある程度ならバイクに乗っても良いことになるが、その条件や交通安全教育の内容など検討することは多い。なるべく早く指導要項を改訂したい」と語った。

 

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