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【埼玉】

思い出の名画で元気に 「銀幕カフェ」オープン

高齢者が青春時代に楽しんだ名画のダイジェスト版が流される「銀幕カフェ」。スクリーンは日本初のカラー映画「カルメン故郷に帰る」主演の高峰秀子

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 原節子、上原謙、高峰秀子…。往年のスターが出演する全盛時代の邦画を20分のダイジェスト版に編集し、BGMのように流す喫茶店「銀幕カフェ」が今月、鶴ケ島市にオープンした。青春時代の映画を見て高齢者が当時を思い出すことで、脳を活性化して元気になってもらうのが目的。出店した映像コンテンツ会社は、今後、全国の高齢者入所施設や喫茶店などにインターネットによる映像提供を計画しており、すでに試験導入している約50の施設では好評だという。(中里宏)

 ダイジェスト版の映像を提供するのは高齢者向けの映像コンテンツを制作・提供する「ネットTV・KAISOU」(本社・沖縄県名護市)。提供する映像は、旧著作権法で著作権が切れた一九五三年以前の映画を利用する。一般家庭にテレビが普及する前で、現在の高齢者が青春を過ごした時代の作品だ。

 大内英嗣(ひでつぐ)副社長(51)は「介護施設を回って分かったのはレクリエーションが不足していることだった。施設利用者が若いときに見ていた映画を、集中できる二十分に縮めて使ってもらうことを考えた」と話す。

 認知症の心理療法として広く行われている「回想法」では、懐かしい思い出を話すことで脳が刺激され、精神状態を安定させる。回想法では映画や音楽、写真などが、昔を思い出すきっかけとして使われる。

 同社の楠裕史さん(59)は「古い映画には、高齢者が若かったころのファッションや音楽、町の風景など、思い出につながる鍵が山のようにある。プロジェクターとスクリーンがあればできるので、全国にある空き店舗も活用できるのではないか。鶴ケ島で五店舗ほど運営し、全国に広げていきたい」という。高齢者は映画のストーリーではなく、田中絹代らスターが画面に現れただけで「この映画をお母さんと見に行った。あのときは…」などと当時の記憶がよみがえり、いきいきと話し始めるという。

 第一号の銀幕カフェは、空き店舗(約五十平方メートル)を活用する鶴ケ島市のチャレンジショップに入居し、日・月・火曜日の営業。二十分、映像を流した後、担当の吉田政司さん(63)が「誰と見に行きましたか」などと話しかける。「すでにリピーターのお客さんもいる。佐田啓二の『追っかけ』をしていた若いころを生き生きと話す女性もいます」という。

 チャレンジショップを担当する市産業振興課の担当者は「映画をきっかけに昔話をしたり、若いころを思い出したりして楽しく憩える場所になれば。高齢者が外に出るきっかけにもなる」と介護予防効果も期待している。問い合わせは銀幕カフェ=電049(227)3186=へ。

 

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