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【埼玉】

サクラソウ自生地・田島ケ原 心配の声 ピークの3分の1以下に減少

3月下旬から清楚(せいそ)な花を咲かせるサクラソウ=さいたま市で(福島一之さん提供)

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 県とさいたま市の花「サクラソウ」の自生地として国の特別天然記念物に指定されているさいたま市・田島ケ原で、数年前から株数が減り続けている。最大時の234万株から現在は72万株へと3分の1以下にまで減少した。関係者は「自生地は最後のとりで。貴重な自然に関心をもってほしい」と訴えている。 (田口透)

 さいたま市桜区田島の桜草公園内にある「田島ケ原サクラソウ自生地」は約四ヘクタール。三月下旬から四月にかけ淡い紅色の花を咲かせる。自生地は一九二〇年に国の第一号として天然記念物に指定された。戦後の食糧難の時代に多くが開墾され、消滅の危機を迎えた。五二年に特別天然記念物に指定されたことで、指定地の公有化が進められ、現在に至っている。

 植物の特別天然記念物は、北海道・阿寒湖のマリモや鹿児島県・屋久島のスギなど全国で三十種ほどしかない。

 サクラソウの自生地は、かつては荒川沿いに多くあり、江戸時代の名所花暦にも取り上げられたほど。しかし、明治以降の開発や、荒川改修工事などで次々に姿を消し、自生地としては田島ケ原が唯一残った。

 西区にあった「錦乃原」自生地も三四年に天然記念物の指定を受けたが、開墾などで消滅、五一年に指定解除となった経緯がある。

 市文化財保護課によると、自生地のサクラソウの株数は、ピーク時の二〇〇三年には二百三十四万八千株を数えた。年々減り続け、一四年には百万株を下回り、昨年は七十一万六千株にまで落ち込んだ。

 調査は六五年から始まり、同年は百一万株だった。増減を繰り返して一時、五十万株台に落ち込んだこともある。同課は「減ってきているのは事実なので、大学とも連携して、検証を続けている」とし、減少の原因を探っている。

 「田島ケ原サクラソウ自生地を守る会」会員の福島一之さん(76)は「繁殖地である湿地の乾燥化や、ポリネーター(花粉媒介者)の減少、外来種の侵入などが考えられる」と指摘。桜草公園全体を自然の風景などを保存する風致公園化し、湿地を守るよう提案している。

 「守る会」は開花期に現地での案内や保護活動、観察会などを行っている。福島さんは「自生地は一度失われると再生が難しい。残念ながら身近なものには関心が薄いのか、地元より県外からの来場者が多い。貴重な特別天然記念物なので大いに関心を持ってほしい」と訴えている。

 

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