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【埼玉】

鴻巣・食品製造会社が長持ちする保冷剤開発 被災地に新鮮な食材を

アイスプリズムを開発した蒟蒻屋本舗の桜井さん=鴻巣市で

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 被災地に新鮮な食材を届けたい−。鴻巣市の食品製造会社「蒟蒻(こんにゃく)屋本舗」がこんにゃく製品などに使用する食品添加物を使った保冷剤「アイスプリズム」を開発、製造している。東日本大震災の被災地へ食材を届ける際に市販の保冷剤が溶けてしまったことが開発のきっかけだ。一般的な保冷剤よりも長時間冷やすことができるという。専務の桜井裕也さん(48)は大規模災害発生時に活用してもらうことを願っている。 (西川正志)

 見た目は普通の保冷剤。中は数種類の食品添加物が絶妙なバランスで配合されている。氷結点などが違う添加物の組み合わせで、冷たさや保冷時間をコントロールすることができ、マイナス五〜同三十五度までの保冷剤を作れるという。「保冷する空間の気密性などが整えば、ドライアイス以上の保冷効果もある」と桜井さんは胸を張る。

 航空会社と組んで、機内サービスのワゴンの冷却にアイスプリズムを使用した実験で、羽田−ホノルルの片道六時間半もの間、冷却に成功した。

 東日本大震後の二〇一一年三月、「被災地で一万人分の豚汁を作ろう」と思い立った桜井さんは、友人らに声をかけて集めた肉や野菜を、市販の保冷剤とともに四トントラック複数台に詰め込み、鴻巣から被災地を目指した。

 目的地の宮城県南三陸町まで要した時間は十時間以上。保冷剤は溶け、庫内の温度は上昇した。食材に傷みはなかったが「夏だったら、腐っていたかも…」と思い、保冷剤開発に乗り出した。

 以前に知り合いのスケート選手から、スケートリンクが溶けないのは「塩などが含まれているから」と聞いたことがあった。それをヒントに、こんにゃく製品などの原料の一部となる食品添加物に塩を混ぜて、試作を繰り返した。

 長年の経験から添加物の持つ氷結点や溶け出す温度の違いなどは熟知していたものの、それぞれの特徴を生かしながら、保冷剤としての機能を発揮させる配合比率は手探りだった。何千通りもの組み合わせを試し、冷たさを長時間保てる比率を発見した。

 一四年に完成し、県が独創的な事業に贈る同年度の「渋沢栄一ビジネス大賞」を受賞した。

 「本業は食品製造」と話す桜井さんは、アイスプリズムを付き合いのある数社にだけ販売している。今後、販路を拡大するかは検討中だが「大規模災害が発生し、食材を被災地に届けたい人や企業がいれば無償提供したい」と話している。

 

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