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【埼玉】

熊谷6人殺害被告に死刑判決 大きな犠牲 悲しみ新た

熊谷6人殺害事件の裁判で死刑判決を言い渡した佐々木直人裁判長(後段中央)ら=さいたま地裁で

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 熊谷市民を震撼(しんかん)させた六人殺害事件で、強盗殺人などの罪に問われた被告に九日、さいたま地裁は死刑判決を下した。被害者を知る地元の関係者は「当然」と受け止めながらも、あまりにも大きな犠牲に悲しみを新たにし、改めて六人の冥福を祈った。 (花井勝規)

 殺害された田崎稔さん=当時(55)=と妻美佐枝さん=同(53)=が暮らし、事件現場となった家の隣に住む美佐枝さんの父親(89)は「被告の死刑判決はテレビのニュースで見たが、それ以上のことは分からない」と言葉少なだった。

 田崎さん宅の近くに住む女性(76)は「判決は当然」と受け止め「お父さんが気の毒でね。今も悔しくて寂しくて、たまらないでしょう」と心情を思いやった。

 夫妻と家族同士の付き合いで、美佐枝さんの父親と共に凄惨(せいさん)な現場の第一発見者となった女性(58)は「判決は納得できる内容。裁判は今後も続きそうだが、美佐枝さんらの最期の姿を目の当たりにした者の務めとして最後まで裁判を見届ける覚悟だ」と語った。

 殺害された加藤美咲さん=当時(10)、春花さん=同(7つ)=の姉妹が通っていた石原小の飯田明彦校長(59)は「二人の尊い命が奪われたという事実に変わりはない。改めてご冥福を祈りたい」と語った。

 「事件を風化させたくない」として飯田さんは校長室に二人の遺影を飾り、学校行事で機会を見つけては二人のことを児童らに話している。事件以来、毎月の月命日には遺族を訪ね、霊前に学校であった出来事などの報告を続けている。

裁判員として公判を終えて会見する伊吹さん(左)と菅原さん=さいたま地裁で

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◆裁判員会見「遺族に謝罪の言葉を」

 被告の刑事責任能力の有無が最大の争点だった今回の裁判。検察側と弁護側の主張が対立したことに加え、被告自身が法廷で事件について語らなかったことから、裁判員らは難しい判断を迫られた。

 判決後に記者会見した裁判員の伊吹正恒さん(65)は「被告に少しでも語ってほしかった」と振り返った。被告は計十二回の審理でうつむき続け、質問にかみ合わない答えを繰り返した。被告が事件について「語れなかったのか、よく理解できていなかったのか、分からなかった」という。

 伊吹さんは「事件当時の精神状態を判断する難しさがあった。でも、周到な工作ができているということは正常な感覚だったと思う」と話した。

 裁判員の菅原隆史さんは「事件について語られず全容は分からないが、被告には正常な判断があったと思う」とし、「遺族に謝罪の言葉は言ってほしかった」と話した。

 

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