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【埼玉】

<ひと物語>アレルギーの子にケーキを 週1回米粉菓子店・武石順子さん

厨房(ちゅうぼう)でシフォンケーキを作る武石さん=さいたま市浦和区で

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 小麦粉の代わりに米粉、牛乳ではなく水を使ったシフォンケーキ。食物アレルギー患者も食べられる食材を使った菓子店が週に一度だけ店を開ける。さいたま市浦和区の「マイ・アトリエ」。店頭にはシフォンケーキに加えマフィンやクッキー、ムースなども並ぶ。

 「米粉を使ってると硬いと思うでしょ。でもとっても軟らかいの」。一人で店を切り盛りする武石順子さん(68)はシフォンケーキをうれしそうに紹介した。

 フォークで軽く押せば切れる繊細さと、しっとり舌を包む優しさ。種類はプレーン、紅茶など定番に加え、かぼちゃやレモンなどもあって豊富だ。食品表示法が定める加工食品のアレルギー食材二十七品目で、プレーンに使われているのは卵のみ。「無駄なものは入れない」という信念で食品添加物も不使用だ。

 知人の紹介で初めて来店したさいたま市中央区の女性(47)は昨年、小麦アレルギーを発症。「食の範囲が一気に狭まった。今まで都内に食べ物を買いに出かけていたので近くのお店で助かる」と頬を緩ませた。

 特定の食材を食べると、ぜんそくやじんましんなどを起こす食物アレルギー。厚生労働省が二〇一三年度に行った全国調査によると、小学生〜高校生の約4・5%にあたる四十万七千人が罹患(りかん)。苦しむ大人も少なくない。

 武石さんが米粉ケーキの作り方を習い始めたのも孫が小麦と牛乳アレルギーだったから。「何とかケーキを食べさせてあげたかった」と振り返る。六十歳の定年を前にして、都内の教室に通い始めた。

 二年ほどで米粉を使ったパンやシフォンケーキの作り方を習得。その後、さいたま市内で教室を始めた。食品添加物も使わないことからアレルギーに苦しむ人に限らず、健康面に気遣う人にも好評を集めた。

 週一度の販売を始めたのは、生徒から要望が相次いだから。採算や負担を考え、注文制も検討したが「必要としてくれる人がいる」と定期的に開店することを決めた。

 評判は口コミで広がり、毎週買いに来てくれる常連もでき、近くの保育園から注文が入るようになった。

 週一度の営業で、販売数の予測が難しい。閉店前に売れ切れたり、余ったりする。「売れ残ると止めようかと思うけどアレルギーの子どもに『ケーキを食べさせてくれてありがとう』と言われるとやめられない。どんな子でもみんなと一緒にケーキを食べてほしい」。これからも優しさを込めたケーキを焼き続ける。 (牧野新)

<たけいし・じゅんこ> さいたま市南区在住。6年ほど前に「マイ・アトリエ」を開店。焼き菓子に加え、小麦を使っていない麺類なども販売する。住所はさいたま市浦和区岸町6の5の22。営業は毎週金曜日の午前11時〜午後6時。問い合わせは=電090(2425)2526=へ。

 

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