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【埼玉】

難病に負けず復興支援 東北の海産物販売、川越の美容室店主

美容室の一角で被災地支援の海産物販売を続ける堀切悦子さん=川越市で

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 川越市霞ケ関東の美容室「ジョイ」は、店の一角で東北地方の海産物を販売している。店主の堀切悦子さん(73)が「被災地に行くことはできないけど、買うことによって復興を手伝うことはできる」と五年前から続けている。三陸の生わかめなど「おいしい」と評判だ。難病を抱えて体の自由はきかないが「また売ってねと、待っている人がいるから頑張れる」という。 (中里宏)

 堀切さんが東北支援を続けるのは、伊勢湾台風(一九五九年)で被災した経験が原点。

 当時、中学三年生だった堀切さんは、名古屋市南区の自宅一階が名古屋港から運河をさかのぼった黒い水にのみ込まれ、母親が浮いた畳の下に引き込まれそうになる恐怖を体験した。水が引いた後、近所の交番には犠牲者がリヤカーで次々に運ばれ、炊き出しも経験した。

 店では二十五年前、劇団公演の手伝いで集まった人たちが今も月一回集まり文化活動などに参加するサークル「いもじゃらん」を続けている。

 二〇一一年の東日本大震災直後、サークル仲間たちが店の前に集合してボランティア活動に出発するのを見送った。堀切さんは十年前に全身性の難病を発症しており、当時は強い腰痛のために「お手伝いしたかったが現地には行けなかった」という。店の切り盛りは長女が担っている。

 五年前、友人とのバス旅行で宮城県名取市の「ゆりあげ港朝市」を訪れたのをきっかけに、朝市に出店する海産物加工会社の商品を取り寄せることを思い付いた。

 商品は「生わかめ(六百五十円)」「茎わかめ(四百五十円)」「茎ソーメン(五百円)」など。買った人からは「スーパーに売っているものと全然違う」「おみやげに菓子を持っていくより喜ばれる」と評判もよく「自信を持って売れる」と堀切さん。

 六月十日にはシンガー・ソングライターたかはしべんさんのコンサートが開かれる川越西文化会館で午後一時から販売する。

 堀切さんは「何かのお役に立っているという気持ちが、私を生かしてくれているのかなと思っています」と話している。

 

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