東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 埼玉 > 記事一覧 > 6月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【埼玉】

七夕の夜 蔵でジャズライブ 工場の歴史残したい 旧青木製餡工場(さいたま市浦和区)

ライブ会場となる蔵の前でポスターを持ってPRする渡部さん(右)青木さん親子=さいたま市で

写真

 県庁南のマンションが立ち並ぶ一角に高さ20メートルの煙突が立つのをご存じか。緑に囲まれた敷地内は工場や蔵、コンクリート製の防空壕(ごう)まである。市街地の真ん中に残るひっそりとした空間。旧青木製餡(せいあん)工場(さいたま市浦和区岸町)だ。休業して久しいが、7月7日に蔵を活用したジャズライブが初開催される。「工場の歴史を残したい」。所有者親子の願いから実現した。(藤原哲也)

 青木製餡工場は一九二八年に川口で創業。三二年に浦和に移転すると、終戦後はあんこの需要の高まりとともに県内有数の工場に発展した。だが、時代とともに縮小。二代目社長の青木一巳さん=享年(82)=が二〇一一年亡くなると休業状態に。今は蔵の一部を取引先だった和菓子店に貸す程度で、役目を終えた煙突や小豆を煮た釜が残る工場は手付かずのままだ。

 「(工場を売却して)開発するのは簡単。でも、父や祖父が残した古いものを愛しつつ何ができるか考えてきた」。敷地内の母屋で育ち、今は約七百坪の敷地全てを管理する一巳さんの長女の渡部成恵さん(56)は、そう心境を語る。

 周辺は次々と開発が進む中、敷地内は昭和初期の面影が残り、煙突は今も地域のシンボルだ。父の死後にそれを知った渡部さんは、蔵を開放した朝市や防空壕の見学会を開催。東日本大震災の被災者を招いた柿取り会も恒例行事となる。昨年からは旧社員寮を建て直して愛猫家向けのアパート経営を始めるなど活用の手応えを感じてきた。

 ジャズライブは煙突と並んで象徴的な蔵の活用を見据えて考えた。木造二階建てで築六十年以上。物置だった二階部分が会場だ。「風を感じながらジャズの音色が響くイメージ。音楽好きの母も楽しみにしている」と渡部さん。当日は工場の歴史を紹介する写真パネルも用意する予定だ。

 夫の一巳さんを長年支えた母の青木澄子さん(84)もこう語る。「蔵が活用され、人々が集う場所になってくれたらありがたい。夫や先代も喜んでくれると思う」。ライブの開催日は七夕の夜。親子はその願いを夜空に込める。

 「七夕Jazz at 蔵ライブ」は午後六時と七時半の二回。各回定員二十人で小学生以上千五百円。要予約で今月三十日締め切り。問い合わせは、事務局の熱田さん=電090(8878)4869=へ。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報