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【埼玉】

<ひと物語>「忍者のよう」世界2位 スパリゾートハワイアンズのダンサー・バル憂弥さん

ファイヤーナイフダンスを演じるバル憂弥さん=福島県いわき市で

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 炎の燃え盛る棒をぐるぐる回し、照明を落としたステージで光の輪をつくる。操るのは南国の衣装に身を包んだ半裸の男性たち。打楽器のリズムに合わせ、両端に炎がついた棒を放り上げたり、炎を口に近づけたり。野性味あふれるショーに、観客席から「おーっ」と歓声が湧き起こる。

 福島県いわき市のレジャー施設「スパリゾートハワイアンズ」。女性のフラダンスとともに、男性たちが繰り広げるファイヤーナイフダンスはハワイアンズの呼び物だ。このうちの一人で、秩父市出身のバル憂弥さん(24)=いわき市=は、米ハワイで五月にあった世界選手権大会で二位入賞を果たした。

 ファイヤーナイフダンスはポリネシア・サモアの伝統的な踊り。サメの歯や豚の牙など当地のナイフを棒の両端に付けたことから派生し、炎になった。これまで世界選手権の上位入賞者は、タヒチやトンガなどポリネシア系がほとんど。今回は二十人が出場したが、日本からの上位進出は大きな衝撃を持って受け止められた。

 バルさんが初めてこのダンスに接したのは、小学校一年の時。夏休みに家族でハワイアンズを訪れた際、「男らしく、勇ましい」と心を奪われた。年に二回、秩父から福島に通い、ビデオで撮影して技を研究。秩父では手製の棒をつくり、荒川の河川敷で弟の史弥さん(21)と練習に励んだ。「河原にいたバーベキューのグループに、肉をごちそうになったこともある」

 ハワイアンズへの熱い思いは消えず、電話をかけたり手紙を出したりして入社を熱望した。ただ採用枠は限られている。高校卒業時は東日本大震災の後で、ハワイアンズが壊滅的な被害を受けていた。夢がかなったのは大学卒業後の二〇一六年。史弥さんとの兄弟入社は、地元でちょっとした話題となった。

 一六七センチ、五十八キロ。筋肉質の体は毎日三時間、技を磨いたり筋トレをしたりして鍛えている。腕をクロスさせて二本の棒を同時に投げ上げるなど、オリジナルの技の開発も。世界選手権では「忍者のようだ」と、バルさんを評する声もあった。

 選手権の出場は、大学生だった一五年に次いで二回目だ。今回の入賞でポリネシアの有名選手たちと交流する機会にも恵まれた。「二位はうれしいけど、正直悔しい。弟の史弥と競いながら、体力の続く限りダンスを究めたい」と前を向いた。 (出来田敬司)

<ばる・ゆうや> 本名・松島憂弥。秩父市生まれ。秩父第一中学校、県立秩父農工科学高校を経て城西大卒。2016年、大卒時に決まっていた地元の金融機関の就職を辞退して、幼少時からの夢だったスパリゾートハワイアンズ(常磐興産)入り。ファイヤーナイフダンスチーム「シバオラ」のメンバーとして活躍する。

 

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