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【埼玉】

<ひと物語>街の今昔伝える鬚爺 所沢の歴史伝承ボランティア・三上博史さん

監修・編集した「所沢市の昭和」を手にする三上博史さん=所沢市で

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 「所沢の歴史で分からないことがあれば聞いてください」−。鬚爺(ひげじい)の愛称で親しまれる三上博史さん(81)は、「歴史伝承ボランティア」として町を訪れる人たちに呼び掛けている。

 活動拠点は、古民家を活用した市中心市街地活性化拠点「野老澤(ところさわ)町造商店」(まちぞう)。ここで月替わりの歴史企画展を担うほか、町歩きガイド、小学校課外授業講師、市民大学講師などとして所沢の今昔を伝え続けている。

 「これまでまちぞうで仕掛けた企画展は百二十を下らない」と三上さん。

 日本初の所沢飛行場が一九一一年四月に誕生したので、毎年四月は飛行場の関連展。他に所沢宿の歴史、織物の町所沢展などを催してきた。

 「まだやりたいことが残っている」と言い、一つが市内在住の九十五歳男性の絵日記展。絵日記を通し、当時の町の様子や戦争との関わりを浮き彫りにする。

 もともと町の歴史に詳しかった訳ではない。転機は、メンズファッション関連会社を定年退職した九六年に訪れた。生まれ育った町について調べようとしたが手掛かりが見つからない。それならば自分で、と古書店などを巡り歩くと、興味深いことが分かった。

 「身近にいくつも文化財があったり、幕末にペリー一行を描いた絵師がいたり、著名な女性俳人や棋士が存在したり…」

 調査結果をまとめ、二〇〇〇年にホームページ「所沢ふるさと散歩」を立ち上げた。江戸から平成までの町の変遷や出来事などを、豊富な写真や図入りで案内している。

 「所沢の歴史を知ることで、所沢の良さを再認識してほしい。子どもたちに郷土愛を育んでもらいたい。それが私の思いです」

 大きな夢、目標がある。百年以上前、所沢飛行場の空を初めて舞った複葉機「アンリ・ファルマン」を、保存先の航空自衛隊入間基地(狭山、入間市)から所沢へ「里帰り」させたいと考えている。

 「航空発祥地の象徴として、(所沢市並木の)航空発祥記念館に展示してもらいたい。各関係機関に依頼して話が動きだしている。実現すれば、町おこしの目玉になり国際観光にも役立てる」

 「体の動く限り活動を続けたい」と意気込む。十五年前から週に三〜四日、ジムのプールに通い、体を鍛えている。「健康診断の結果は、今のところオールAです」。肌をつやつやと輝かせながら笑った。問い合わせは、まちぞう=電04(2928)1453=へ。 (加藤木信夫)

<みかみ・ひろし> 1937年、所沢市生まれ。96年の定年退職後、町おこしボランティアに参加。2005年に仲間たちと拠点施設「井筒屋町造商店」(現在の野老澤町造商店)を設立、町の歴史に関わる企画展、町おこしイベントを手掛ける。市制施行60周年記念写真集「ふるさと所沢」(10年)、「所沢市の昭和」(16年)を監修・編集。

 

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