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【埼玉】

<ひと物語>「相続落語」で笑いを追求 公認会計士・税理士 石倉英樹さん

本業の仕事の合間に「相続落語」の魅力を語る石倉さん=さいたま市で

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 相続税対策の話題で「効果抜群の方法がある」と切り出すと、間髪入れずに「今のうちに使っちゃうことです!」。居並ぶ高齢者の前でこんな調子の小話を続けて笑いを誘う。「相続落語」をライフワークにする石倉英樹さん(44)の真骨頂だ。本業は税理士。相続の知識を冗談を交えて伝えようと日々奮闘する。

 振り込め詐欺や節税対策、もめる家族の話。さまざまな事例を紹介しながら笑いを取りつつ役に立つ話をしていく。専門的な話と笑いのバランスのさじ加減が難しいが、経験を重ねる中で、笑いを貪欲に求めるようになった。

 「笑ってもらうポイントで笑いが起きるのは快感。最近は(税理士と落語家)どっちが本業か分からない」。落語を始めた当初は仕事のための感覚があった。今はそれ自体が楽しいという。すっかり芸人気質が身に付いたようだ。

 相続落語のきっかけは本業で独立を果たした二〇一四年。もともとファンだった漫談家の綾小路きみまろさんに憧れて都内の落語教室に通い始めた。最初は古典落語をマスターし、翌年から地元の老人ホームやデイサービスで落語ボランティアを開始。舞台に慣れていく中で、だんだん相続ネタを増やし、今のスタイルを確立していった。

 モットーは「笑って・学んで・健康に」。師匠からもらった「参遊亭英遊(さんゆうていえいゆう)」の名で活動を続け、昨年の高座数は八十回を超えた。「終活」といった言葉が定着する中で全国から出張依頼が増えている今も、原点は綾小路きみまろさんだ。「本音を言って受け入れてもらいながら笑いに変える。自分のネタで同じ状況を作りたいこだわりが強くあります」

着物姿で「相続落語」を披露する石倉さん(本人提供)

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 だから、ネタ作りとネタ集めにはこだわる。振り込め詐欺のネタでは警察署から聞いたり調べたりした最近の事例を盛り込む。依頼人や落語を聞きに来た客から聞いたネタも「本当の話は面白い」と採用。最近は前半落語、後半セミナー形式のスタイルが多いため、セミナーは漫談調に進めることも意識する。

 落語の世界に足を踏み入れてまだ三年。今の目標は千人規模のホールで単独公演を実現することだ。「半分冗談、半分本気。スポットライトを浴びる快感は忘れられない。最高にしびれるでしょうね」

 これからも相続で悩む人に笑いを届けるため全国を飛び回るつもりだ。「本当にきみまろさんみたい。いつまでも追い掛けたい」。貪欲に笑いを取る姿勢は今も発展途上にある。 (藤原哲也)

<いしくら・ひでき> 1973年、さいたま市中央区生まれ。大学卒業後、28歳で公認会計士試験に合格。監査法人などを経て、2014年に石倉公認会計士事務所を設立。主に相続専門の税理士として活動するほか、相続落語や相続セミナーを全国で開催する。依頼の問い合わせは同事務所=電050(3634)0101=へ。

 

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