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【埼玉】

<熱球譜>後輩信じ「おまえのスイングを」 花咲徳栄3年・杉本直希主将

9回裏花咲徳栄2死満塁、井上選手(右)に声掛けに向かう杉本主将

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 どうして自分が主将に抜てきされたのか、答えは出ないまま突っ走ってきた夏が終わった。

 試合後、控室で座り込んだ杉本直希選手(三年)。夏の県大会二カ月前に、主将だった野村佑希選手(三年)を投球に専念させるため、岩井隆監督から任された。

 思いを内に秘める性格で、これまで仲間に厳しく言ったこともない。「自分でいいのか」と戸惑った。

 主将としてどう振る舞えばいいか、野村選手にアドバイスをもらいながら、戦績を分析してチームの方針を考えた。「頼りない自分が変わらないと、チームは変わらない」。少しずつ厳しく言うことも増え、私生活を正すためにチームで寮の整頓も始めた。

 逆転の望みが残る九回裏。2点差で2死満塁の打席に立ったのは一年生の井上朋也選手。一目散に打席へ走り「おまえのスイングをすれば大丈夫」と声を掛けた。だが攻めのフルスイングは、空を切った。

 「頼りないキャプテンでごめん。ここまで支えてくれてありがとう」。悔しさと感謝が入り交じった涙があふれ出た。

 連覇の重圧がのしかかった主将のきゃしゃな背中に、「おまえを主将にしてよかったよ」と岩井監督は声をかけた。

 「みんなに信じて支えてもらえた経験は、これからの人生で糧になる。この悔しさを忘れずに歩んでいきます」。報道陣からの取材後、涙をふいて立ち上がった。 (浅野有紀)

 

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