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【埼玉】

手芸品で交流の場 岩手で震災被災再起の田代さん川越に無料展示場

田代さん(左)がオープンし、小楠さん(中)と山下さんの作品が並ぶ「カワクリ」。サロンとしても利用できる=川越市で

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 東日本大震災で岩手県大槌町の自宅と店舗を失い、川越市で貸店舗業を営む田代拓巳さん(47)が、同市新富町の商店街クレアモールに、手工芸品の無料展示スペース「カワクリ(川越クリエーターの略)」をオープンした。出品者によるワークショップや談笑の場としても使える。田代さんは「手芸などが好きなお年寄りらの交流のきっかけになれば。一生懸命作った作品なら、プロ、アマ、ジャンルは問わない」と利用を呼び掛けている。 (中里宏)

 田代さんは大槌町で輸入雑貨店を経営していたが、二〇一一年三月の震災による津波で自宅と店舗を失った。一三年に川越市内で同様の雑貨店を再開したが、いったんたたんで友人が経営する不動産会社でテナント営業を学んだ。一七年七月から、起業家向けに割安で内装工事済みの店舗スペースを貸し出す貸店舗業を手掛けている。

 自らが再起を果たす中で、手芸など作品作りの技術を持ちながら家に閉じこもりがちな独り暮らしのお年寄りや、子育てで働けない女性らの話が耳に入った。「作品展示と交流の両方ができる場をつくろう」と管理する空き店舗に開設したのが、カワクリだ。

 カワクリは、県内有数の商店街クレアモール内のビル二階にある約十三平方メートルのスペース。価格が付けられた手工芸品やアート作品を展示販売している。

 出品者が価格を決め、売れた場合に三割を田代さんが受け取るシステム。テーブルやいす、コーヒーの自動販売機もあり、サロンやワークショップの場としても無料で利用できる。

山下さんの飾り結び「メドゥプ」。洋服やバッグなどに付ける=川越市で

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 川越市の小楠美子(おぐすよしこ)さん(63)は、木製品などに絵の具で美しい花模様を描くヨーロッパ発祥の「トールペインティング」の作品を出品。三十年前、夫の仕事で在住していたドイツで習い、その後、オランダ流の描き方も習得した。「作品を自宅に持っているだけだったので、展示してもらえるのはうれしい。やってみたいという人がいれば、教えたい」と喜んでいる。

 朝鮮半島の飾り結び「メドゥプ」を展示する同市の山下安子さん(70)は「どんな洋服にも合い、失敗がない。高齢でもできる趣味として、みなさんに知ってもらいたい」と意気込む。

 「事業としては成り立たないボランティアです」と笑う田代さんだが、「ビル内のテナントに人を呼ぶツールにはなる」と期待を寄せている。

 カワクリは西武新宿線本川越駅から徒歩五分。問い合わせはウォームスプロダクション=電050(1154)3097=へ。

 

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