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【埼玉】

熟成に時間も「角なく香りよし」 木桶しょうゆ世界へ

新桶作りに参加する笛木さん(左から2人目)と女性桶職人の伊藤さん(左)ら=川島町で

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 川島町の老舗しょうゆ会社「笛木醤油(しょうゆ)」で、醸造に使う高さ約2メートル、容量3600リットルの「20石(こく)の大桶(おおおけ)」が作られている。ときがわ町のスギ材と日高市の竹が使われており、来年2月に川越産大豆と小麦で仕込みをする。東京五輪・パラリンピックが開かれる2020年に出荷できる予定で、社長の笛木吉五郎さん(38)は「埼玉産のしょうゆを世界に発信したい」と話している。大桶は8日に同社で開かれる「創業祭」で完成披露される。(中里宏)

 一石は約百八十リットル。木桶でしょうゆを醸造している同社には高さ三メートル、五十石の木桶が三十八本ある。温度調節ができるステンレスタンクなら半年で出荷できるが、木桶だと熟成に一年半〜二年かかる。その分、「角のない、香りの良いしょうゆができる」という。

 しかし、同社の木桶は既に百〜百五十年使っていて更新時期が近い。一方、全国の木桶職人は高齢化で六十人ほどに減り、大桶作りの技術も継承が危ぶまれているのが現状という。

 笛木さんは、木桶作りの技術を守るために活動する大阪府の岸菜賢一さん(42)らの桶職人グループ「結(ゆ)い物で繋(つな)ぐ会」と共に一六、一七年に高さ約一メートルの新桶を製作。今年は一挙に二十石の大桶作りに挑戦した。

 県西部には川越市の松本醤油商店、坂戸市の弓削多醤油、所沢市の深井醤油など、木桶で仕込む老舗しょうゆ会社が残る。笛木さんは「埼玉のしょうゆ会社で連携し、他県の人が『埼玉に来たらしょうゆを買いたい』となるように盛り上げていきたい」と意気込む。

 繋ぐ会の職人四人のうち、唯一の女性・伊藤翠(みどり)さん(34)は新座市出身。昨年四月、「生活に根差した、ものづくりの仕事がしたい」と、同会の中心メンバーで徳島県阿南市の桶職人原田啓司さん(34)に弟子入りし、住み込みで働いている。「東日本の桶と西日本の桶は材質にも違いがある。いずれ関東に戻って独立したい」と話す。

 創業祭は八日午前十時〜午後三時。しょうゆ搾り体験や落語などのイベントのほか、「しょうゆ焼きそば」や「しょうゆかき氷」の販売もある。問い合わせは笛木醤油=電049(297)0041=へ。

 

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