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【埼玉】

<ひと物語>パパ友 人つなぐ「黒子」 「うらわLOOP」企画・三ツ口拓也さん

「うらわLOOP」の会場となった広場で今後の目標などを語る三ツ口さん=さいたま市で

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 予想外の光景だった。夏休み終盤の八月二十九日。平日夜にもかかわらず、さいたま市役所内の広場で初開催されたナイトマルシェ「うらわLOOP」は大盛況で、飲食店の屋台は売り切れが続出していた。企画した同市浦和区の会社員三ツ口拓也さん(37)は「成功はしたけど、来場者数が読めなかった。多くの人に提供できなかったのが心残り」と振り返る。

 浦和のパパ友グループ「うらわClip」の中心メンバー。ナイトマルシェは浦和の新しい楽しみ方を演出しつつ地元の小さな経済を回そうと、同グループが中心となって手探りで始めたイベントだった。

 行政の助成金や企業の協賛に頼らず、準備は協力者を募りながらの手作り。告知はチラシとフェイスブックだけだったが、仕事帰りの人や親子連れなど千人以上でにぎわった。

 実は、準備段階から並々ならぬ手応えを感じていた。開催日が近づくにつれて協力者が増えたことに加え、告知を見た飲食店の店主からチラシを置かせてほしいと依頼があったという。「マルシェに出店しない店主さんだったが『こういうことをやってほしかった』と言われ、うれしかった。そういうきっかけをつくれただけでも、価値があったと思う」と総括する。

 地元への思いは、ある覚悟からだった。浦和に住み始めたのは、結婚して子どもが生まれた後の二〇一一年。進学や留学、転職で転居が続き、根無し草のような生活が続いていたが、自宅を購入したのを機に心境が変化していったという。

 「子どもにとってのふるさとは浦和になる。父親として住みよい街づくりに関わりたかった」。浦和の街をもっと面白くしたいという同じ思いのパパ友らとグループをつくり、今回のイベントを成功させたのはその第一歩となった。

 文教都市として名高い浦和。その魅力を「人も歴史も厚みがある」と評する。それだけに人同士のつながりが少ないことがもったいないと感じていた。だからこそ「自分たちがつなげて、多くの人が豊かな街の厚みを享受できるようにしたい」。今後はマルシェに加え、街づくりを話し合う「うらわ横串ミーティング」の開催も計画中だ。

 ただし、三ツ口さんは自分たちを「黒子」だと強調する。「街の主役はあくまでも街で頑張っている人。僕らがうまくつながりをつくって、頑張っている人たちが活躍できるようにしたい」。パパ友たちの取り組みは始まったばかりだが、浦和の街づくりに新たな風を吹かせている。 (藤原哲也)

<みつぐち・たくや> 愛知県豊田市生まれ。大学卒業後に農業生産法人の設立や運営などに携わり、現在はマンション販売会社に勤務。3月に浦和のパパ友グループによる任意のまちづくり団体「うらわClip」の立ち上げに参加する。「うらわLOOP」では実行委員会の代表を務めた。3人の男の子の父親でもある。

 

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