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【埼玉】

つなぐ 三沢の獅子舞 皆野の伝統芸能 地元児童が奉納 

大勢の観客が見つめる中、獅子舞を披露する児童たち=皆野町で

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 過疎化が進む山間部で伝統芸能をどう残していくかは大きな課題だ。この30年ほどで人口が3割以上減った皆野町三沢地区の「三沢の獅子舞」(町指定無形民俗文化財)も例外ではない。祭りを絶やしてはならないと、地元の三沢小学校は本年度、地域の芸能団体に指導を依頼。児童11人が7日に開かれた三沢諏訪神社の例大祭で、獅子舞を奉納し、町民は文化の継承に期待を寄せた。 (出来田敬司)

 竹林の中にたたずむ神社の境内で、古風な笛の音に合わせて小づくりな三頭の獅子たちが前後左右に跳びはねる。「もっと前に出て」「大きく動いて」。時折、法被姿の大人からアドバイスが飛ぶ。舞を終え、獅子頭を外した子どもたちに観客から惜しみない拍手が送られた。

 三沢の獅子舞は一人が一体を操り、太鼓をたたきながら頭を振り回す。江戸時代の慶安二(一六四九)年、武蔵の忍(おし)藩主の子孫が当地に伝えたとされる。「雨乞いざさら」の異名を持ち、江戸後期の文政年間に干ばつが続いた際、獅子舞を秩父神社に奉納すると、秩父地方に雨が降ったと伝えられている。

 三沢小が獅子舞の授業を始めたのは六月。地元の三沢諏訪神社獅子舞団のメンバーが、同校体育館で十一回にわたって指導してきた。リズム良く太鼓をたたいたり、他の獅子とタイミングを合わせたり。団長の田島敏さん(69)は「獅子頭が重いと泣きだす子もいたけど、よく頑張った」と振り返る。

 取り組みの背景には、深刻な人口減少がある。三沢地区の一日現在の人口は千百六十六人。一九九〇年の国勢調査時から三割以上も減った。隣の秩父市では竹やヒノキの葉を燃やし一年の安泰を祈願する「白久のテンゴウ祭り」のように、担い手不足などで既に途絶えた行事もある。

 この日、獅子舞を演じた三沢小五年の若林龍君(10)は「練習通りにできた。いろんな人が見ていて緊張したけど、皆と一緒にできて楽しい。大人になっても続けたい」と笑顔。見守った田島さんは「祭りは子どもを交えることで活気が出てくる。伝統文化は地域の宝。これからも後の世代につながればいい」と話した。

 

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