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【生活図鑑】

「病院」が有料老人ホームに参入 介護・医療難民の発生防止策は十分か?(No.147)

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 医療法人による介護付き有料ホーム経営が、2007年4月から解禁になります。医療費削減を目的にした医療病床の縮小、廃止と介護施設転換への受け皿のひとつになるものです。しかし円滑に転換できるのか、「介護・医療難民」の発生を懸念する声は根強くあります。

 医師による医療(治療)の必要度が低い高齢者が、家庭などの事情で入院を余儀なくされる“社会的入院”。政府は医療法人に介護保険の対象になる有料老人ホーム経営を認め、この解消策のひとつにしよう、と考えています。医療と介護の緊密な連携は患者やその家族にとって心強いことですが、課題は多いようです。

 主に高齢者が長期入院している療養病床は三十八万床(医療型二十五万床、介護型十三万床)あります。二〇一二年三月までに介護型を廃止し、医療型を十五万床に縮小し治療の必要度の高い人を受け入れる方針です。

 狙いは、医療費の削減。一二年度で医療、介護全体で給付額が三千億円軽減される、という試算もあります。

社会的入院の解消策

 政府は、療養病床全体の再編成を円滑に進めるため(1)医療法人による有料老人ホーム新設などに資金面で支援する(2)医師や看護職員の配置基準の緩和(3)都道府県が中心となって地域ケア構想をつくり実行する−などの転換支援策を打ち出しています。

 ところで、医療の最前線に立つ医師はどう見ているのでしょうか。

 厚生労働省が最近まとめた調査結果(対象は全国六千三百六十二医療機関)によると、代表的な介護施設である老人保健施設に転換するとの回答は、療養病床全体の8・5%にすぎません。

 半分以上が経営面でも慣れている医療、介護療養病床の継続を望んでいます。介護療養病床だけでみても、老人保健施設への転換が20・4%、有料老人ホームへの転換に至っては1・7%しかありません。

時代の要請に悩む医師

 日本医師会が〇六年十月に公表した調査も同じような傾向です。四月から有料老人ホーム経営に乗り出すある内科医は「たくさんの応募がありました。(少子高齢化)時代の要請でしょうが、皆が入れるわけではないのです」と悩みを話してくれました。

 その一方、介護用財源が不足している地方自治体では、介護付き有料老人ホームの新設を制限しているケースがあります。

 日本医師会は、このままではいわゆる「介護・医療難民」が発生しかねない、との懸念を強め、受け入れ態勢の整備などを強く求めています。

 こうした現状に厚労省は「老人保健施設の機能を拡大するのかどうかなどを議論していきたい。転換支援策が十分かどうかも検討する必要があります。よりきめ細かな対応が大切になります」と難民発生を避けるため、あらゆる手だてを講じる考えです。高齢化は急ピッチで進んでおり、国、地方が一体となった総合的な取り組みが急がれます。

 個別には都道府県の相談窓口にお問い合わせください。

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