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【生活図鑑】

セーフティーネットの検証 ほころぶ社会保障 弱者にしわ寄せ(No.148)

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年金、健康保険料の未納・滞納が増えるなど、将来、十分な社会保障を受けられない人が増加してします。背景には低賃金の派遣、請負など非正社員が増えたほか、負担増を柱とした社会保障・生活保護の見直しなどがあります。セーフティーネット(安全網)は十分に機能しているのでしょうか。

 わが国は戦後、終身雇用制を柱に経済成長してきました。このため、年金、医療などの社会保障は正社員を前提として築かれています。自営業者や無職の人は国民年金、国民健康保険に加入することで国民皆年金・皆保険が実現してきました。

 しかし、雇用の面では、パート・派遣など非正規の働き方が増加、その割合は30%を超えています。しかも、偽装請負や、日々仕事をしても(またはその意思があっても)生活保護水準以下の収入しか得られない「ワーキングプア」(働く貧困層)が社会問題となっています。雇用をネットと考えると、さまざまな問題が浮かび上がっています。

 非正規の働き方は、当初の社会保障制度では想定されていませんでした。保険料を支払えず、社会保険を受けられない人も少なくありません。

所得格差と制度疲労

 そこで、政府では雇用形態の変化にともない一部のパート労働者に厚生年金加入など、社会保険の適用を進める方向です。しかし、十分な対策とはいえないとの指摘も多くあります。

 一方、国民皆年金・皆保険を実現してきた国民年金、国民健康保険は危機的状態です。従来、国保の加入者は自営業者や農林水産業の従事者が多かったものの、高齢化などの影響で無職の割合が年々増加し、50%を超える水準に達しようとしています。とくに所得のない人も増え、保険料の滞納世帯数も増加、滞納率は約19%に達し、大きな問題になっています。

 この結果、社会保険財政が圧迫され、保険料アップと高齢者を中心にした自己負担増が繰り返されてきました。負担に耐えられない人には、社会保険のネットが機能しない状況になっています。

高齢化社会に重い負担

 すでに生活保護の保護世帯数は増加しています。このため、生活保護が年金額より多くなるなどの不公平感や財政問題を理由に、七十歳以上の高齢者に支払われていた「老齢加算」を廃止。十五歳以下の子どもを育てる一人親の生活保護世帯に支給される「母子加算」制度も段階的廃止を予定しています。また、保護率には地域格差があり、自治体によっては、なかなか認めないケースも指摘されています。

 社会保障や生活保護制度が、セーフティーネットとして今後も十分に機能していくのか、大きな問題です。

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