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【生活図鑑】

介護保険の不正請求 モラル欠如 指定取り消し281事業者(No.163)

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 訪問介護大手コムスンの介護報酬不正請求をきっかけに、介護事業のあり方があらためて問われています。介護事業の経営状況と不正請求の実態は?

 二〇〇〇年四月の介護保険導入以来、介護報酬の不正請求は年々、増加傾向にあります。厚生労働省によると、介護保険導入から〇六年末までに指定を取り消されたのは、四十二都道府県で二百八十一事業者、四百五十九カ所の事業所・施設に及んでいます。

●コムスンは氷山の一角

 厚労省は〇七年六月、コムスンに対し改正介護保険法(〇六年四月施行)に基づき、事業所の新規指定や更新を今後約五年間認めないとする厳しい処分を下しました。改正介護法は、違反した事業所だけでなく、その会社が経営するほかの事業所も連座して指定更新などができなくなります。

 コムスンの場合、全国に二千八十一カ所の事業所が、新規事業所の開設と更新が認められないため、最終的には四百二十六カ所に減る見通しでした。このため、事業継続は困難になりました。

 指定取り消し事業所の約70%が営利法人(民間事業者)。そこで民間のモラルを問う声や、介護保険の分野にそもそも利潤を追求する民間の参入を促し、活用したことへの批判も出ています。

 しかし、不正請求はコムスンだけではありません。コムスン以外の大手事業者のほか、東京都文京区の特別養護老人ホームも指定取り消し処分になるなど、「民間だから」とも言い切れない根深い問題があるようです。

●陰に苦しい台所事情

 例えば、経営状況からも見て取れます。取り消しの多い訪問介護は、民間事業者が50%以上を占めるほか、介護報酬の改定で経営状況も厳しいのが実情です。

 〇五年の介護事業経営実態調査では、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、介護老人保健施設、療養型医療施設の介護保険三施設は黒字で、損益比率(補助金を含まない)は10%を超えています。

 半面、居宅サービスでは、通所サービスが収益を上げているのに対し、訪問介護はマイナス0・8%、訪問入浴介護がマイナス10・1%と赤字でした。

 高齢化にともない介護の重要性は高まっています。また保険料も上昇しています。事業者を含めた「介護の質」の向上や財源問題を含む制度見直しが今後の課題です。

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