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【生活図鑑】

厚生年金基金の未払い 企業年金連合会「待ちの体質」で1544億円が宙に(No.174)

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 短期間で退職した人や、解散した厚生年金基金の資産管理を行う企業年金連合会で約124万人、総額1544億円の年金未払いが明るみに出ました。基金のしくみと未払いの現状は?

 厚生年金基金は代表的な企業年金で、公的年金である老齢厚生年金の報酬比例部分を国に代わり運用するとともに、企業独自の加算を実施するしくみです。加算部分の内容は企業によって変わりますが、老齢厚生年金全体は基金の有無にかかわらず保証されています。

 受給の手続きは、公的年金の請求手続きとともに、基金などにも手続きが必要です。一般的に基金のある会社に十ないし十五年以上勤めた場合、加入した厚生年金基金に請求します。

 一方、勤務年数が十年未満など短期間で転職した人(中途脱退者)や、廃業などにより基金が解散した人は企業年金連合会に請求します。

 老齢厚生年金は、原則として二十五年以上の受給資格期間が必要ですが、基金の年金は、加入期間が一カ月以上なら年金が支給されます。受給資格は六十歳以上です。

●未払いは124万人分

 解散基金の加入者は、老齢厚生年金の受給年齢になると、基本部分を受け取ることができます。期間の短い中途脱退者は、国の年金の受給資格にかかわらず支払われます。

 今回、請求がなく未払いになっていたのは、二〇〇六年度末で百二十四万人と、受給資格を持つ人の三割にも当たります。複数の基金に加入した人もいるため、件数は約百四十八万件、単年度の年金額で四百八十億円でした。百二十四万人の過去分の年金も含めた未払いの総額は、千五百四十四億円にものぼります。内訳は、中途脱退者が百四十万九千件、解散基金が六万八千件。一人当たり平均年額は中途脱退者が約一万九千円、解散基金が約三十万円でした。

 中途脱退者の加入期間は、五年未満が92・2%を占め、年額一万円未満が六割以上でした。ただ、三十万円以上も三千件ありました。解散した基金では年額三十万円以上が約四割にのぼっています。

●「申請主義」の弊害

 なぜ、未請求のままなのか−。同連合会は、「加入記録が移った後に住所や姓が変わり、請求書が届かない」「死亡したのに届け出がない」「受給資格があると認識していない」などの理由をあげています。

 しかし、公的年金と同様に申請しなければ支給しないという申請主義をとってきたため、六十歳前に一度通知するのみで、積極的に年金受給を促してこなかったことが問題視されています。同連合会は「連合会は時効を設けていないため、請求があれば支給する」ほか、今後は通知回数を増やすとしています。

 同連合会は十年以上前から請求されていない実態を把握しながら、有効な手だてを講じてきませんでした。こうした実態を長年公表せず、「待ちの姿勢」に終始してきた体質は、まさに申請主義の弊害です。厚生労働省、社会保険庁から理事長などに天下りも多く、あらためて当事者としての責任が問われています。

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