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【生活図鑑】

深刻な所得格差 2001年以降 貧富の差が急速に拡大(No.176)

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 構造改革、市場主義が政策で進められる一方で、格差拡大が問題になっています。本当に所得格差は広がっているのでしょうか?またいつから広がってきたのでしょうか?

 所得格差を判断するため、まず厚生労働省の所得再分配調査の当初所得(公的年金など社会保障給付を除いた所得)に着目してみました。

●市場主義で富が偏在

 五つの所得グループ(世帯数は同数)が、それぞれ全所得に占める比率をみてみます。すると、最高所得グループの所得比率は、全所得の51・8%を占めていました。これに対し、最低所得グループは端数処理の関係で0・0%(端数処理前でも約0・015%)と、割合が限りなくゼロに近い状態でした。

 調査が始まった一九六二年以降、最高所得グループと最低所得グループの所得に占める割合の格差(倍率)を計算すると、六〇年代から七〇年代後半までは十倍以内でした。高度経済成長期などで、まさに一億総中流時代です。しかし、八〇年代から十倍を超え、九〇年代は二十−三十倍程度に広がりました。

 さらに九九年に六十一倍に達し、二〇〇二年には百六十八倍と百倍を超えました。〇五年は端数処理の関係で最低所得層の割合がゼロになったため、計算上無限大(端数処理前でも四千倍超)にまで急激に広がりました。

 格差の急激な拡大時期は、構造改革、市場主義経済を掲げた〇一年の小泉政権発足以降と符合します。また、〇二年と〇五年の調査を比べると、所得の多いグループの割合が一段と高まり、中間以下のグループは割合がさらに低くなるなど富の偏在に拍車がかかっています。

 一方、所得や資産の不平等さを示すジニ係数(図説明参照)ではどうでしょう。当初所得の差は、〇五年で初めて〇・五を超えました。再分配所得の差も拡大しており、所得格差は深刻な状態です。所得格差の推移をみると、八〇年代初頭の中曽根政権あたりから拡大してきたようです。中曽根、小泉政権では、政策に民営化、構造改革を掲げた点が共通しています。

●社会保障が下支え

 当初所得は公的年金などを含んでいないため、無職の高齢者(年金生活者)の所得が低くなり、高齢者が増加すると、格差がつきやすい傾向にあります。厚労省も格差拡大の理由として、高齢化や単身者の増加をあげています。一方、再分配された所得をみると、当初所得の格差拡大を社会保障給付で抑えていることが分かります。

 公的年金を含んだ所得格差を経済協力開発機構(OECD)加盟国で見ると、日本は平均よりも不平等度が若干高い国になっています。ただ、日本は、不平等度が高まる傾向にあります。

 政府は、財政問題から社会保障給付費を抑制しており、格差は拡大するばかり。社会保障の切り捨ては、国民の理解を得られません。

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