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【生活図鑑】

社会保障カード構想 番号制導入 個人情報管理が課題(No.178)

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 政府は、年金手帳や健康保険証、介護保険証、雇用保険証の履歴を管理する「社会保障カード」(仮称)を2011年度にも導入する方針です。検討会も始まり、年内に基本構想をまとめます。しかし、カードといっても社会保障番号を国民にふることになり、情報管理への不安や一元管理を疑問視する声もあります。

 社会保障カード(仮称)構想は、ずさんな管理の実態が明らかになった年金記録問題の解決手段として、社会保障全体を一元化した社会保障番号を導入することです。

●年金など4分野対象

 構想では、年金手帳、健康保険証、介護保険証、雇用保険証の代わりを果たし、年金記録を自宅のパソコンから確認したり、診療報酬明細書(レセプト)情報や医療費通知を見ることができるようになります。希望者は写真入りのカードを取得し、身分証明書として使うこともできます。

 政府や自治体は、社会保障などの複数の番号を管理する必要がなくなり、事務の効率化、行政のスリム化が図れるほか、国民の利便性も向上するとしています。

 年金記録システムの更新時期と重なることや、医療費の支払いに利用されるレセプトが二〇一一年度から原則電子化されるなど実務面に合わせ、一一年度に導入する方針です。

 だが、導入時期の方針は定まっているものの、社会保障番号やカードの仕組みがどうなるのかは未定。年金、医療、介護、雇用制度を対象に検討は始まったばかり。

 政府は、住民基本台帳の住民票コード導入の際、国民総背番号制につながるとの批判を受けたことを考慮し、今回は構想の「カード」という名称を前面に打ち出しました。しかし、基本は社会保障番号をどのようにし、どう管理していくかという点です。また、カードに個人情報をどこまで盛り込むかも課題です。

 社会保障番号としては、これまで(1)基礎年金番号(在留外国人を含む)(2)住民票コード(外国人を含まない)(3)新しい番号−が選択肢に挙がっています。

●情報漏えいの心配も

 社会保険庁職員による年金記録ののぞき見や、警察官による犯罪歴情報の流出、住民票コードの流出などがありました。また、行政が恣意(しい)的に情報を収集し用いる懸念もあります。一元的に管理すれば、個人情報大量漏えいのリスクが高まるのも事実です。

 さらに、医療情報として病歴や健診結果なども対象にするのか、情報管理の面からも問題はないのかなどの指摘もあります。このため、個人がカード(番号)にのせる情報を、氏名、住所だけにするなど、選択できるようにするといったことも今後の検討課題になってきます。

 情報のセキュリティー対策、行政のスリム化効果や社会保障カードシステムの維持費用などを国民に十分説明し、理解を得る努力が必要です。

 主要国では、社会保障制度が整っているとされるスウェーデンなど北欧諸国を中心に導入。韓国、シンガポールで制度化されています。いずれも、社会保障だけでなく、税も含めて統一運用されています。米国では、社会保障番号の民間による乱用、盗用のほか、犯罪に使われるなどの問題も起きています。

 国民生活にかかわるだけに慎重な議論と詳しい説明が求められます。

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