東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 生活図鑑 > 生活図鑑シリーズ・バックナンバー > 2007年の記事一覧 > 記事

ここから本文

【生活図鑑】

年金記録不備と不祥事(No.180) 進まぬ審査・訂正 社保庁の責任重大

写真

 約5000万件の記録不備や保険料の着服など相次ぐ国民への背信行為。年金記録問題検証委員会の最終報告では、5000万件中約40%の該当者は特定するのが難しいとしています。記録の審査・訂正も進んでいません。厚生労働省・社会保険庁の責任は、極めて重大です。

 基礎年金番号に統合されていない「宙に浮いた年金記録」が約五千万件あることが判明、照合作業が始まりました。

 しかし、五千万件の中に約五百二十四万件の氏名のない記録があることや、生年月日がまるめた数字で省略されていたことなどが新たに分かりました。総務省の年金記録問題検証委員会は「氏名などがない記録は容易に把握できたはず」と指摘しており、社会保険庁による公表の遅れなどをみるにつけ、記録問題の根深さをうかがわせます。

●記録訂正は300件余

 五千万件の保険料や年金額はどれくらいあるのでしょうか。民主党が社保庁に求めた試算によると「保険料納付額を機械的に計算すれば二兆三千五百億円になる」(社保庁)と二兆円を超えます。ただ、社保庁は東京社会保険事務局の百五十件をもとにしているため、保険料が高く試算されるとしています。

 これをもとにした民主党の年金額試算では、総額六兆六千億円になります。一件あたり国民年金で年間約六万円、厚生年金では基礎年金を含め十五万円になる計算です。

 年金の記録不備、さらには年金記録そのものがない「消えた年金」の記録審査を行うため、第三者委員会が六月に中央で、七月に地方で発足しました。第三者委員会に寄せられた申立件数は発足三カ月の十月で二万件を超えました。しかし、これまで、審査が行われ記録訂正が認められたのは中央・地方を合わせて三百件あまりと、救済率は数%にすぎません。

 人員が足りないなどの理由で、なかなか審査は進んでいません。

●横領額は4億円超

 年金記録にからみ、保険料や年金自体の着服問題も表面化しました。市区町村のうち三十三都道府県の九十自治体で百一件の横領があり、被害額は約二億四千万円超、社保庁職員では、五十四件一億七千万円を超えています。横領の合計は四億円を上回っています。

 調査ごとに件数や額が増加。明らかになった件数は「氷山の一角」との指摘もあり、社保庁はさらに調査する予定です。

 保険料横領などの罪を犯した者が、法律に基づき責任を問われるのは当然です。しかし自治体による告発は少なく、七市町は告発を見送り、代わりに社保庁が告発するような事態です。

 検証委員会は最終報告の中で、年金記録問題は、社保庁の歴代長官以下幹部職員の責任が最も重いと断定。さらに社保庁の職員団体(組合)、厚生労働相以下厚労省幹部職員にも責任があると指摘しています。

 年金は国民の老後の生活を支える柱です。年金問題に関心を持ち、行政を監視していくことが大切です。

ご注文はこちらから
 

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報