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【生活図鑑】

労働分配率と賃金(No.194) 働き手への配分、実質賃金は減少

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 長らく景気回復が続き、企業収益も最高水準なのに賃金は伸び悩んでいます。利益を労働者の人件費にどれくらい配分したのかを示す労働分配率も2001年ごろから低下傾向が続いています。物価高の中、実質賃金の減少傾向に歯止めがかかっていません。

 労働分配率とは、利益を労働者に賃金などでどれくらい配分したかを見る指標です。労働分配率の計算には、雇用者所得と国民所得を用いるほか、さまざまな方法があります。今回は、財務省の法人企業統計から、人件費と利益などに着目して試算してみました。

●製造業の分配率は下落

 分配率を全産業(金融、保険業除く)でみると、一九八五年度以降、九〇年度に約61%に低下したのち上昇、二〇〇一年度まで70%前後で推移しました。しかし〇二年度以降、再び低下しています。

 これを製造業、非製造業でみると、国際競争にさらされる製造業の低下が一段と進んでいます。

 労働分配率は、景気拡大期に低下する傾向にあります。それ以外の要因としてパート、派遣など非正規社員の増加が考えられています。とくに九〇年代後半から安価な労働力として非正規社員の雇用が増加。厚生労働省はこのため、分配率が低下したとみています。

 賃金(現金給与)総額の傾向をみると、〇一年から〇四年まで前年比マイナスが続き、〇五年、〇六年とようやく横ばい水準まで回復しました。しかし、〇七年は八月に前年同月比でプラスになった以外は、前年を下回りました。

●経営側に賃上げ容認論

 しかも、消費者物価を差し引いた実質賃金は減少傾向が続いています。生活必需品を中心に値上げ予定がめじろ押し。実質賃金の大幅減少の可能性が強まっています。

 一方、主要国で比較すると米国、英国、ドイツ、フランスの賃金総額は前年比で増加傾向ですが、日本だけが低下傾向にあります。世界的な景気拡大で日本企業は最高の利益水準を達成したが、労働者は恩恵を受けなかったともいえます。

 景気に陰りが見えており、不況下のインフレがもたらす個人消費の低迷などを懸念する声も出ています。このため、連合をはじめ労働団体は、今春闘での賃金引き上げの必要性を強調。日本経団連の御手洗冨士夫会長も、賃上げを容認する姿勢です。

 非正規社員を含め、賃金全体の底上げを求める声も強まっています。春闘での個別企業の対応が注目されています。

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