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【生活図鑑】

労働審判制度 平均心理74日紛争の8割が解決(No.213)

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 解雇や賃金未払いなどの個別労働紛争の迅速な解決策として2006年4月から労働審判制度がスタートしました。スタートから2年で労働審判の申し立ては全国で2726件に達しています。約70%で調停が成立し、審判を受け入れたものを含めると約80%が解決しています。

 解雇、配置転換や賃金、退職金未払いといった金銭問題など個別労働紛争が年々増加しています。厚生労働省の統計でも二〇〇七年度の相談件数は十九万七千九百件に達しています。

 そこで、長引く労働裁判などの解決策として労働審判制度が、〇六年四月に導入されました。

●審理は原則3回

 審判制度は民間から選ばれた二人の審判員と職業裁判官である審判官の三人で審理、調停や合議により、解決案となる審判を下します。労働者側は組合幹部経験者などを連合が、使用者側は人事担当役員などを日本経団連が、それぞれ審判員として推薦し、最高裁判所が任命します。

 申し立ては地方裁判所に行い、審理は原則三回で終了し、話し合いによる解決ができる場合は調停を行います。調停に至らない場合は解決案としての審判を下します。審判に不服なら、訴訟へ移行します。

 導入から二年で、全国の地方裁判所が受け付けた申立件数は、都市部を中心に二千七百二十六件でした。このうち、解雇無効など地位確認の事案が千三百十件、賃金不払いなど金銭事案が千三百六件でした。

 結論が出た二千四百二十七件を見ると、審理回数は三回以内がほとんどで、四回以上の審理は2・6%でした。平均審理期間も七四・九日(約二・五カ月)と、目標の三カ月以内に収まりました。労働裁判の一審の平均審理期間約十三カ月に比べ、迅速さが特徴です。

 さらに、審判事件の69・6%で調停が成立し、審判を受諾した件数や取り下げなどを合わせると約80%の紛争が解決しています。ある審判員経験者は「労使の経験者や裁判官である審判官が率直に意見を述べるなど、調停が行いやすい雰囲気がある」と調停が多い理由を挙げています。

●迅速な解決が魅力

 発足から二年を経て、労働審判は、司法制度改革で成功した改革の事例とされています。ただ、解決案が金銭解決になりがちなことに懸念を示す人もいます。

 これについて東京大学大学院の徳住堅治客員教授は「金銭解決になりがちな懸念もあるが、労働審判の魅力は迅速性。三カ月程度で解決できるので解雇事案などで職場復帰も行いやすい。これも審判制度の利点だ」と分析しています。

 また、「解決については労使ともに高評価している。解雇やセクハラ、残業代不払いなど、当初、審判に向かないとされた複雑な事案の解決も多く、審判制度の利用者は今後も増えていくだろう」とみています。

 解雇、パワーハラスメントなどの労働相談も増加するなか、審判制度に注目が集まっています。

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