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【生活図鑑】

政府・与党「後期高齢者」の保険料軽減 批判回避へ9割減額など追加策(No.216)

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 低所得世帯ほど保険料負担が軽くなる―政府は後期高齢者医療制度をこう説明してきました。しかし、高齢者の批判が強いうえに、厚生労働省の試算でも逆の結果が出ています。政府は従来の軽減措置に加え、与党と一体でさらなる対策を打ち出しました。収入が基礎年金相当額の年金収入のみで、80万円以下の人の均等割を2009年度から9割減額するなどが柱です。ただ、08年度だけの暫定措置もあり、混乱の恐れがあります。

 追加措置は、低所得世帯の保険料負担軽減が狙いです。まず二〇〇八年度の措置を見てみます。

 ともに年金収入のみの夫婦世帯(妻の年金が百三十五万円以下)の場合、夫の年金が百六十八万円以下なら、定額負担の均等割が現在七割軽減されています。九月までの均等割は、七割軽減(三割負担、全国平均約千円)のままですが、十月から〇九年三月までは均等割を徴収せず負担がなくなります。年度を通じ八割五分軽減されることになります。対象者は約四百七十万人です。

 さらに、所得に応じて負担する所得割も軽減します。年金額二百十一万円以下の人を対象に、〇八年度の所得割を一律50%減とします。所得の確定や保険料通知作業などが煩雑になるため、実施するかどうかは各広域連合で判断します。このため、加入する広域連合によって、保険料が違ってくることになります。

●本格実施は09年度

 〇九年度からの軽減策を見てみます。まず均等割について、年金収入八十万円以下の人は、新たに九割軽減の措置を設けます。対象者は約二百七十万人です。一方、暫定措置で均等割の負担が半年間なかった八十万円超百六十八万円以下の人は、もとの七割軽減に戻ります。

 所得割について、厚生労働省は東京都などの仕組みを基本に軽減割合のモデルを示しています。百五十三万円超百六十八万円以下で100%軽減し、二百十一万円まで段階的な軽減割合が示されます。軽減については、各広域連合が判断し、設定します。

 厚労省の試算では、これにより、国民健康保険の保険料と比較すると、軽減される低所得世帯の割合が増加し、保険料が下がる世帯割合は全体で、軽減措置導入前より6ポイント増の75%となると推計しています。それでも、軽減される世帯の割合は高所得世帯になるにしたがって多くなります。

 保険料の納め方も、年金からの天引きは基本とするものの(1)年金収入が百八十万円未満で、口座振替できる世帯主または配偶者がいる(2)国民健康保険の保険料を二年間滞納していなかった−などの条件を満たす人は、口座振替を選択できるようになります。

 〇八年度も含め、軽減された保険料などの通知がどうなるのかなどの詳細はこれからです。通知額を見て、高齢者が軽減措置を判断できるかも定かではなく、混乱することも考えられます。

●財源手当ては先送り

 軽減措置に必要な額は〇八年度で均等割軽減に三百億円、所得割軽減に百億円、相談体制の整備に八十億円、システム改修費に八十億円の計五百六十億円です。〇九年度以降は毎年、均等割軽減に二百三十億円、所得割軽減に百億円の計三百三十億円と見込まれています。〇八年度分は補正予算等で対応するとみられますが、来年度以降の財源は未定です。

 福田首相は、社会保障費の毎年度二千二百億円の抑制策を続ける方針です。政府・与党は今回、財源論議がないままに、高齢者の批判をかわすため、急きょ軽減措置を決めました。今後、後期高齢者医療制度を維持するには、財政上難しい判断を迫られることになります。

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