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【生活図鑑】

基礎年金税方式の試算を検証 消費税率換算で3.5−12%の増税(No.218)

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 基礎年金を全額税で賄う税方式について、社会保障国民会議が試算したところ、消費税率に換算し3.5%から12%の引き上げが必要とされました。大幅な消費税率の引き上げが大々的に報じられるなど、論議を呼んでいます。しかし、一体、これはどういうことなのでしょうか、検証してみます。

 社会保障国民会議は、基礎年金の税方式化について、二〇〇九年度(国庫負担は二分の一と仮定)から実施した場合、三つのケースについて試算しました。

 〇九年度で基礎年金の給付に必要な費用は十九兆円。そのうち国庫負担は十兆円、保険料は九兆円としています。基本的に税方式では、保険料分を消費税で賄うことになります。

●試算は3ケース

 第一のケースは「過去の保険料納付状況に関係なく一律給付」とする方式。つまり保険料を払っていようがいまいが、満額給付期間四十年に足りなくても、基礎年金満額(二〇〇八年度、月額約六万六千円)を全員に一律給付するということです。追加費用に五兆円が必要で、保険料と合わせ十四兆円を消費税で換算すると、〇九年度で新たに5%の消費税が必要になります。増税です。

 このケースでは保険料を支払っていない人にも満額給付することになり、モラルハザードを指摘する声もあります。

 第二のケースは「過去の保険料の未納期間に応じて減額」とする方式です。給付の考え方は、現在の年金制度とほぼ同じ。例えば保険料をまったく支払っておらず受給年齢に達した人は〇九年度、給付がありません。この場合、〇九年度時点で追加給付は必要ないため、現行の保険料のみの九兆円を消費税率に換算すると、3・5%の増税になります。

 第三のケースは「上乗せして全員に給付する」やり方です。全員に一律満額給付(月六万六千円)し、さらに最大(1)保険料相当分(月三万三千円)を上乗せ給付(2)保険料分に公費分も加えた六万六千円を上乗せ給付−します。この場合、追加費用分と保険料を消費税率にすると〇九年度で三万三千円なら8・5%、六万六千円なら12%、それぞれ消費税の増税が必要となります。

 しかし、国や年金の財政が厳しい折に、いくら給付が増えるからといって、第三ケースに賛同する国民がどれくらいいるでしょうか。あまりに非現実的な前提だとしか言いようがありません。現実的には、第一と第二ケースの折衷案などで、消費税率としては3・5−5%の増税というところでしょう。

●「定率減税廃止分」は?

 国民会議は現在の国庫負担は三分の一であり、試算前提である二分の一に引き上げるには消費税率1%分が必要だ、としています。税方式では、この1%を足し、現在の5%を含め最高で消費税率18%という数字が独り歩きしました。

 恒久的減税だった所得税などの定率減税を廃止(〇七年に全廃)する際、政府・与党は、廃止による増税分を基礎年金の国庫負担の引き上げなど年金財源に充てると事実上、公約していました。しかし、今年の通常国会での政府答弁によると、増収分のうち、基礎年金財源に充当したのは六千八百億円ほどでした。

 公約はどうなったのでしょうか。宙に浮いた年金や消えた年金に見られるように、国民への約束は破ってもいいということでしょうか。消費税率の引き上げが議論されるなか、あいまいにしようとする姿勢があるなら、許されないことです。

 今後、家計負担がどうなるのかを検証していきます。

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