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【生活図鑑】

基礎年金税方式化−家計は? 企業の保険料負担軽減分 どう反映(No.220)

 基礎年金の税方式化で、家計や企業にはどのような影響が出るのでしょうか?社会保障国民会議の試算によると、企業は保険料負担がなくなる一方、サラリーマン世帯は保険料支払より、消費税増税の負担の方が重くなるとしています。自営業者世帯では保険料が免除されていなければ、おおむね負担は軽くなります。試算は、企業の保険料負担分をどのようにするかが税方式化のカギと示唆しています。

 本来、税方式は基礎年金の財源が保険料から税金に変わるだけなので、財政的には変わりません。しかし、社会保障国民会議は、現行方式を単純に移すのではなく、未納の人も含めて給付するケースなどを二〇〇九年度(国庫負担分二分の一が前提)から実施する、として試算結果を示しました。

 第一のケースは「過去の保険料納付状況に関係なく一律満額給付する」もので、〇九年度に増税される消費税率は5%。第二のケースは「過去の保険料の未納期間に応じて減額する」もので、給付の考え方は現在の年金制度と同じで、同3・5%。第三のケースは「満額給付したうえで上乗せして全員に給付する」方式。〇九年度で上乗せが最大三万三千円なら同8・5%、六万六千円なら同12%が必要です。

●負担増の世帯が大半

 試算によると、サラリーマン世帯は、どのケースでも保険料支払いがなくなった分よりも、消費税率がアップしたことによる負担の方が重くなるとしています。

 一方、企業(事業主)負担は、保険料支払いがなくなった分、軽減されます。

 自営業者世帯では、保険料が免除されていなければ、高所得世帯を除き、おおむね消費税率アップによる負担額に比べ、保険料支払いの軽減額が上回ります。一方、全額免除の世帯は消費税分が新たな負担になるほか、四分の三免除のように免除額が大きい世帯では消費税率アップの負担の方が重いと試算しました。

 低所得世帯で負担が重くなるのはサラリーマン世帯でも同じです。これは、所得額にかかわらず必要な消費をするため、低所得者に負担が重くなる逆進性が消費税にあるためです。現行の消費税には、食料品など生活必需品について軽減税率などがありません。

 年代別にサラリーマン世帯を見ると、六十五歳以上の高齢者の負担は税方式で、より重くなります。年金受給世帯は保険料負担はありませんが、消費税率アップの負担分が新たに加わります。

 年金には、負担と受給をめぐり世代間の格差や不公平という問題があります。その一方、税方式はすべての世代に負担を求めます。こうした点を含め、年金制度に対する考え方が問われています。

●企業の軽減分は家計に

 税方式化によるサラリーマン世帯の負担増加について、さらに見てみましょう。現行の年金保険料は労使折半です。税方式化で企業負担がなくなれば、その分をサラリーマンが負担するという構図です。

 大幅に年金額を増やす第三のケースは別として、第一、第二のケースで企業負担の軽減額とサラリーマン世帯の軽減額を合計すると、消費税率アップの負担額とほぼ同じか、軽減額が増税による負担額を上回ります。

 つまり、税方式化では企業負担の軽減分を取り込むことが重要なポイントです。その方法として、保険料軽減分を新税として企業に課す案もあります。また、サラリーマン世帯には、所得に応じて保険料を支払う報酬比例部分があり、軽減分をここに反映し、企業の負担割合を多くするなどが考えられます。

 これを機に年金制度、税制のあり方をめぐる議論を深めていきたいものです。

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