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【生活図鑑】

厚生年金記録の改ざん(No.227) 社保庁が関与か 遠のく信頼回復

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 年金記録問題で、またしても不祥事が明らかになりました。会社員が加入する厚生年金記録の改ざんです。以前から記録の正確性が問題視されていましたが、標準報酬月額(給与水準)や加入期間の改ざんでは社会保険庁の組織的関与も疑われるなど、年金への信頼回復は遠のく一方です。

 総務省の年金記録に関する第三者委員会で、記録の訂正が認められたものをみると、多くは、支給額のもとになる標準報酬月額が低く記録されていました。また、加入期間が短縮されていた例もありました。

●ツケは労働者に

 標準報酬が低くされた例では、退職前まで月五十三万円だったのに、記録は退職前約一年間がなぜか月二十万円になっていました。しかも退職後に社会保険事務所が記録を訂正入力していました。明らかに不自然な記録訂正で、改ざんとしか言いようがありません。

 また、加入期間が短くなった例では、退職した時期よりも約一年四カ月も前に、厚生年金から脱退(退職)したことになっていました。これも社会保険事務所が本人退職後に、さかのぼって期間短縮の記録訂正を行っていました。

 厚生年金保険料は労使折半で、労働者は給与から天引きされています。事業主が一括して納めていますが、改ざんがあれば労働者の年金額が本来よりも減ってしまいます。

 改ざんがなぜ起きたのでしょうか。

 経営難に陥っていた企業が厚生年金保険料を滞納しており、その滞納期間を消滅させるため、記録を改ざんしたとの指摘がされています。

 事業主などが本来の月収水準では保険料を滞納してしまうため、月収の水準や期間を改ざんしたとされます。事業主だけでなく、社会保険事務所の職員から改ざんを持ちかけられた例もあるといわれています。厚生年金保険料の滞納はあってはならないこととされ、改ざんで保険料の未収記録をなくしたのではないか、と疑われています。

 これについて年金関係閣僚会議への報告では、改ざんの疑いが指摘された十七件のうち、社会保険庁の職員が関与したのは一件だけとし組織的関与は認めませんでした。

 しかし舛添要一厚生労働相は「私自身は組織的関与があるだろう、クロに近いと思っている」と述べ、改ざんが組織的であったとしています。

 では、改ざんは、どのくらいあったのでしょうか。

●改ざん延べ約144万件

 コンピューター上の一九八六年以降の厚生年金記録、約一億五千万件のうち、(1)標準報酬を五等級以上引き下げられたのが約七十五万件(2)六カ月以上さかのぼって標準報酬が引き下げられたのが約五十三万三千件(3)標準報酬引き下げと同日ないし翌日に加入者の脱退処理が行われた「不適切な処理」が約十五万六千件。合計すると約百四十三万九千件になります。このうち、すべてに該当するのが六万九千件でした。これがすべての改ざんとも思えず、混迷は深まるばかりです。

 自分の記録が改ざんされたかどうかを知るにはどうすればよいのでしょう。

 事実解明が進まないだけに、勤めていた会社が倒産したり、経営難だった会社に勤めていた人は、社会保険事務所で記録されている標準報酬の確認をする必要があります。

 こうした例に該当する場合は、記録の訂正を求めなければなりません。しかし、訂正には給与明細など、ある程度の証拠が必要です。被害者によっては証拠を集めにくい人もあり、救済をどうするかも問われています。

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