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【生活図鑑】

高齢者医療制度と健保組合の負担(No.230) 拠出金増加で組合の9割が赤字

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 企業で働く人々や家族を支える健康保険組合が悲鳴を上げています。2008年4月から始まった後期高齢者医療制度の中で、前期高齢者納付金が大幅に増えるためです。新制度の狙いのひとつは、現役世代と高齢者の分担ルールの明確化ですが、双方から負担増加への強い不満が起きています。今後、健保組合の解散が相次ぐ事態も予想されます。

 医療保険制度には、国民健康保険や組合管掌健康保険など各保険間で助け合いの精神があります。しかし、急速な少子高齢化の影響で高齢者の医療費が増加。老人保健制度への健保組合の拠出金が増大し、一九九九年には拠出金不払い運動に発展しました。

 国保への公費負担引き上げなど対策をとりましたが、(1)高齢世代の保険料の扱いが不明確(2)実施主体の市町村は医療費を払うだけで財政基盤や責任が不明確−という老健制度の欠陥はそのままでした。そこで二〇〇八年四月から後期高齢者医療制度が始まったのです。

●過剰な肩代わりに憤り

 新制度は、現役世代と高齢者の分担ルールの明確化、広域連合による財政や運営責任の明確化などを掲げていますが、国会での審議は生煮えで、国民への説明も不十分でした。中でも、年金問題をめぐり国民の強い批判が噴出している最中に、年金から保険料を天引きするやり方は、七十五歳以上の高齢者(約千三百万人)の怒りを買っています。

 一方、現役世代にも強い不満があります。批判の対象は、前期高齢者(六十五−七十四歳)の医療費負担です。

 財政調整という名目で、高齢者などが少ない健保組合、協会けんぽ、共済組合等が国保を財政的に支援する仕組みです。健保組合の関係者は「保険者の金額の見積もりなどが不透明。サラリーマンOBだけでなく自営業者の分なども幅広くカバーすることになる」と、国保の過剰な肩代わり、負担押しつけに憤りをあらわにしています。

 団塊の世代が六十五歳以上になる四、五年後には、前期高齢者への納付金が大幅に増える見通しです。

●独自給付の削減も

 健康保険組合連合会によると、〇八年度は90%の組合が赤字に転落し赤字額は六千三百億円になる見通しです。保険料収入に占める拠出金、納付金の比率は46・5%と半分近くになります。

 このままでは▽健保組合全体で四兆四千億円以上ある内部留保の取り崩し▽保険料率の引き上げ▽人間ドックの補助など独自給付の削減▽組合の解散と協会けんぽへの移行−という事態が予想されます。公費を投入している協会けんぽの財政も悪化の一途です。

 ほころびが目立つ年金、医療、介護の社会保障制度。負担と受益の適正化、保険と税など財源問題を早急に解決することが政治の責任です。

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