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【生活図鑑】

介護労働者の処遇改善(No.238) 賃金アップにつながる報酬改定を

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 低い賃金など介護の現場で働く人々の労働環境が問題になるなか、政府は緊急特別対策として2009年度の介護報酬を改定(プラス3%、約1200億円)し、処遇改善に乗り出す計画です。離職率が高い介護労働の現実と課題を探りました。

 介護労働の現状をみると、有資格者が多い半面、従事者は少ない、というのが実態です。例えば、訪問介護員(ホームヘルパー)の研修修了者は二〇〇六年度までの累計で三百二十六万人でした。しかし、介護職関係の離職率は、〇七年度で21・6%と全産業平均の15・4%を大きく上回っています。また、介護福祉士の資格を持つ四十七万人(〇五年)のうち約40%の二十万人が介護以外の職に就いています。

 その原因は、賃金の低さなど介護労働者の処遇にあると指摘されています。

 なかでも介護労働者の賃金(月に決まって支給する給与)は福祉施設介護員、ホームヘルパーとも約二十一万円で、全産業の三十三万円に比べ約40%も低くなっています。介護職の勤続年数は五年程度で、全産業の一一・八年に比べ短い。単純比較はできませんが、給与水準の低さも影響しているようです。

●評価の低さに不満

 介護労働者への調査でも、「仕事の内容・やりがい」については満足度が高いものの、「賃金」で不満が高くなっています。「満足」と「やや満足」から「不満足」と「やや不満足」を差し引いた満足度DIでは、賃金がマイナス29・6、次いで「教育訓練、能力開発のあり方」「人事評価・処遇のあり方」などへの不満が高くなっています。

 労働条件への不満でみても「仕事内容の割に賃金が低い」が、介護訪問など訪問系介護職、介護老人福祉施設など施設系介護職とも不満のトップを占め、「業務に対する社会的評価が低い」との回答も半数近くありました。

 訪問系で不満が高いのは「定められたサービス行為以外の仕事を要求される」が39・3%などで、施設系では「身体的負担が大きい」「休暇が少ない・取りにくい」などが上位を占めています。また、共通して「精神的にきつい」との悩みが多く、厳しい介護労働の現状がうかがえます。

●プラス3%で十分か

 政府は、介護労働者への処遇改善のための介護ビジョンなどを策定し、誇りを持って介護労働ができるしくみを目指しています。緊急対策として、〇九年度にはプラス3%介護報酬を改定し、介護労働者の処遇改善につなげたい考えです。

 介護経営の実態に即して報酬改定が進められる予定ですが、具体的にどのようなサービスに報酬を加えるのかなど難しい問題もあります。

 この改定で事業者への報酬を増やしても、必ず賃金など処遇改善へ反映されるかは分かりません。プラスになった介護報酬について賃金への反映を義務化するなど、労働環境の向上につながるしくみが必要です。

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