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【生活図鑑】

人口減少と「消費者不足不況」(No.239) 深刻な地方 職求め東京へ流入

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 2035年の日本の総人口は、約1億1068万人と05年に比べ13%減る見通しです。とくに地方の人口は、南関東など大都市圏に比べ急速に減少し「消費者不足」という構造不況が、一段と深刻になる気配。喫緊の課題である雇用をみても、職を求め東京などへ流入する人口が、加速度的に増える事態も予想されます。

 人口減少と少子高齢化は、経済や社会に大きな影響を及ぼしています。

 国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、大都市を抱える南関東、中部、近畿の総人口は、二〇三五年で約六千五百九十八万人と〇五年比9・1%減の見通しです。

●減る働き盛りの人口

 問題は地方圏。人口は約四千四百七十万人で同19・0%減と大都市圏の約二倍のスピードで減少する見込みです。とくに、将来を担う子どもたちや働き盛りの人口が減り、六十五歳以上の高齢者の比率は増えます。

 今でも地方は「消費者不足不況」といわれていますが、今後、構造的な不況要因は、さらに深刻になる見通しです。

 一方、東京都を抱える南関東など大都市圏でも深刻な問題を抱え込みます。高齢者とくに七十五歳以上の高齢者の人口比率が、地方と比べ急速に増えるからです。

 政府部内には、すべての市町村に行政、医療、介護、経済など生活に関する機能をフルセットで整備するのは困難、との見方さえあるのです。

 そこで総務省は「定住自立圏構想」に基づき、地方での定住促進や、人の流れを大都市から地方へ転換させる政策を打ち出しました。計画を策定した都市には、〇九年度から交付税で財政支援する方針です。日本経団連は、道州制の導入で行政のスリム化や経済全体の活性化を図るべきだ、と提言しています。

 しかし、現実はまったくの逆。東京を中心とする南関東に流入する人口は増え続けています。景気の急速な悪化で、各地の雇用情勢を示す有効求人倍率は軒並み低下し、「一倍」を割り込む地域がほとんどです。

 非正規労働者の雇い止め、契約の中途解除、新卒者の内定取り消しや正規社員の一時帰休など大量の雇用調整が発生。職を求めて東京などへ流入する人口は、今後さらに増える見通しです。

 政府は、〇九年度予算案に多くの緊急雇用対策を盛り込みましたが、緊急避難的な処方せんにすぎません。経済効果が疑問視される二兆円の定額給付金をやめて雇用対策に回すべきだ、との批判も根強くあります。

●「富の流れ」を変えろ

 人、モノ、カネが“異常に”東京に集中する体制にメスを入れ、人や富の流れを大きく変える必要があります。

 それには、国民の意識改革、中央集権制度の見直しに加え、▽地方での雇用創出・確保を前提に、産学連携による高付加価値型産業の育成▽子育て、医療や介護などへの支援強化▽企業の社会的責任に基づき、労働法制を全面的に見直し、人を粗末に扱わせない仕組み−などが不可欠です。

 経済界の一部には、人口減少を理由に低廉な外国人労働力拡大を求める意見がありますが、自己中心的かつ拙速に過ぎる考えです。

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