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【生活図鑑】

ワークシェアリング(No.242) サービス残業解消が大前提

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 1人当たりの労働時間を減らし雇用の維持を図るワークシェアリングが、注目されています。2002年に日本経団連、連合と厚生労働省の三者が、導入で合意しましたが、賃金や長時間労働などで労使の対立が解けず、その後の景気回復もあり普及しませんでした。今回は、非正規労働者の待遇問題など新たな課題が山積しています。

 ワークシェアリングは、(1)正規労働者の所定内労働時間を減らし、社内で雇用を維持する緊急避難型(2)労働時間を短縮し、新たな雇用機会を生み出す雇用創出型(3)短時間勤務の導入など働き方を多様化し、雇用機会を提供する多様就業対応型−に大別されます。

 ワークシェアリングの先進国オランダの例をみると、政労使が、一九八二年に賃金上昇率の抑制、パートタイム雇用の創出や労働時間短縮による若年層の雇用促進などで合意。フルタイム、パートタイム労働者について、均等待遇を法律で担保するなどの措置を講じた結果、失業率の大幅低下、共働きによる家計所得の増加と消費拡大という効果を生み出しました。

●働き過ぎの「正規」

 日本では、どうなのでしょう。デフレ不況下の二〇〇二年、導入に関し政労使で合意したにもかかわらず、その後の景気回復もあり導入したのはごく一部の企業でした。

 その理由は、経営側の総人件費抑制路線に加え、サービス残業の常態化、正規、非正規労働者の均等待遇に関する議論の未成熟にあるとされています。とくにサービス残業と長時間労働は、過労死の原因になるため、厚生労働省が毎年のように適正化キャンペーンを展開しても是正されていません。総務省の労働力調査によると、週六十時間以上働いている人は雇用者の10%以上、子育て世代の三十歳代男性は、その倍の水準です。

 〇七年度に労働基準法違反として厚労省から是正指導を受けた企業は千七百二十八社、割増賃金支払額は約二百七十二億円で集計を始めた〇一年度以降で最悪でした。

●02年の失敗教訓に

 再びワークシェアリングが注目されていますが、連合の幹部は「現状では、有効だとは思っていない」と指摘、サービス残業の解消など労働時間の適正化が議論の前提としています。経営側もルール順守の重要性を認識していますが、サービス残業解消は進んでいません。

 さらに正規、非正規労働者に関する同一労働・同一賃金など均等待遇の検討、派遣労働者への対応といった、〇二年には顕在化していなかった課題が山積しています。

 労使双方は、政府に雇用調整助成金の要件緩和などセーフティーネットの拡充を求めています。ワークシェアリングに関し労使は「同床異夢」といわれていますが、その壁を乗り越え真剣に議論する必要があります。〇二年の失敗を繰り返すようでは、双方とも社会的批判を浴びるのは必至です。

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