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【生活図鑑】

厚生年金 記録改ざんの実態(No.243) 調査対象不十分 急がれる全容解明

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 会社員が加入する厚生年金記録の改ざん問題はその後、どうなっているのでしょうか。改ざんの疑いの強い約6万9000件を調査した厚生労働相直属の調査委員会報告によると、平均して標準報酬月額(給与水準)が20等級以上引き下げられ、加入期間を30カ月さかのぼって改ざんされていました。これを受け、社会保険庁も年金受給者2万人について戸別訪問しているほか、訂正を社会保険事務所で行えるなどの対応をしていますが、まだ全容は判明していません。                                                                                                  

 改ざんについては(1)給与水準が五等級以上引き下げられている(2)六カ月以上さかのぼって記録が処理された−などに該当する約六万九千件(約四万二千事業所)が疑わしいとされています。調査委員会もこれを対象に調べました。

●年金額8万円減も

 その結果、給与水準でみると二十等級以上引き下げられたケースが40%にあたる二万八千三百七十件もありました。給与水準の五等級以上の引き下げとは、五十万円が三十六万円以下に改ざんされることです。二十等級では五十万円が十三万四千円程度に引き下げられたことを意味します。

 委員会では、事業主や役員について経営責任などから五等級以上の引き下げを行う場合もあり得るとみていますが、従業員については、きわめてまれなケースとしています。二十等級以上の引き下げは改ざんとしか言いようがありません。

 実際、総務省の年金記録確認第三者委員会で認定されたケースでも五十九万円が九万二千円に、五十六万円が八万円になるなど大幅な改ざんが判明し、記録の訂正が行われました。

 一方、加入期間をさかのぼって改ざんした例では、平均三十カ月にもなるとしています。ただ、変更届が六カ月以上遅れて提出される場合もあり、すべてがまれなケースとは言えないものの、一年ないし二年以上の期間を変更しているのは、改ざんの疑いが強いとしています。

 記録改ざんの平均である引き下げ二十等級、期間三十カ月で単純計算すると、年金額が約八万円減ることになります。

 記録改ざんの時期はバブル経済崩壊後が多く、この時期に経営不振だった会社に勤めていた人は注意が必要です。

●大都市に多い改ざん

 地域的なばらつきも目立っています。事業所数の関係もあるものの、東京都が三万五千件と半数以上を占め、大阪府、埼玉県が四千件を、神奈川県、北海道が二千件をそれぞれ超えています。報告書では、全期間を通じて改ざんが行われたのは埼玉県、東京都、愛媛県と指摘しています。

 社会保険庁も、記録が改ざんされたと疑わしい年金受給者二万人を対象に訪問調査をする一方、加入者に給与水準などを「ねんきん特別便」やホームページで情報提供を行う予定です。

 これまで第三者委員会への申し立てでしかできなかった記録訂正を、二〇〇八年末から社会保険事務所で行えるようにしました。記録訂正は従業員のみが対象。改ざんを証明するには給与明細、雇用保険の離職日などの資料が必要です。

 報告書では、社会保険事務所の組織的関与も指摘しました。また、オンライン化後の条件にあったものだけを調査したものであり、全容が明らかになったわけではないと指摘しています。全容の解明が急がれています。

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