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【生活図鑑】

名ばかり管理職(No.245) 実態は待遇に見合わぬ長時間労働

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 管理職に昇進したものの、仕事の内容、権限、待遇は以前と変わらず、そのうえ残業代も出ないという「名ばかり管理職」が問題になっています。店長が未払い残業代の支払いを求めた日本マクドナルド訴訟では、2008年に一審の東京地裁で、残業代の支払いを命じる判決が出ました。しかし、名ばかり管理職は店長だけの問題ではありません。

 日本マクドナルド訴訟では、店長が未払い残業代の支払いを求めて提訴しました。裁判では、店長が法で定める管理監督者にあたるのかが争点になりました。一審では待遇、権限などから見て管理監督者ではないとして、残業代の支払いを認めました。

 この判決を受け、管理職だから、という理由で店長に残業代の支払いをしていなかった外食、紳士服チェーンやコンビニエンスストアなどで見直しが相次ぎました。

 厚生労働省も、チェーン展開する業種の店長に、十分な権限や待遇を与えず長時間労働を強いる不適切な事案が多いとして、適正化に乗り出しています。

●管理監督者とは別もの

 管理職になれば、残業代も出ないと考えがちです。労働基準法では、労働時間等に関する規定の例外として、管理監督者に対しては残業代を支払わなくてもよいとしています。

 しかし、管理職=管理監督者とは限りません。労基法では、管理監督者の具体的な範囲を定めていません。このため、管理監督者については、厚労省の行政解釈に基づいています。

 具体的には▽経営者と一体的な立場にある▽労働時間の規制枠を超えて働く重要な職務で、出退勤などで自由裁量がある▽それにふさわしい権限、賃金などの待遇がなされている−などが判断基準とされています。

 労基法などが制定された一九五〇年前後は、管理職数も多くなく、管理職は管理監督者と同一と考えられてきました。その後、従業員は増加したものの、本来の管理職ポストはそれほど増えず、「管理職的な名前」のポストが増えました。そうした結果、ふさわしい権限が与えられなかったり、待遇がなされていない「名ばかり管理職」が問題になってきました。

●経済界全体にまん延か

 厚労省の委託を受け島田陽一早大教授らがまとめた「管理監督者の実態調査」によると、管理職という理由で残業代を支払わない割合は、課長以上で70%以上でした。管理監督者の基準では、出退勤の自由裁量があるはずですが、遅刻など勤務態度で不利益を受けると答えた管理職は、全体で約54%で、部次長クラスでは59%もありました。

 こうした点から、管理監督者として残業代は支払われないものの、必ずしも管理職としてふさわしい処遇をなされていない割合が多い、と指摘しています。小売業など店舗をチェーン展開する業種以外でも、名ばかり管理職問題があることをうかがわせています。厚労省の賃金不払い残業の是正結果でも、二〇〇七年度は二百七十二億円にも及んでいます。

 雇用情勢が厳しいなか、非正規社員切りと正社員の長時間労働、賃金不払い残業の横行が懸念されています。労働のあり方が問われています。

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