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【生活図鑑】

介護報酬改定と処遇改善(No.247) 初のプラス改定 人材確保につながるか

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 介護保険スタートから10年目を迎えます。介護労働者の離職が問題になるなか、賃金などの処遇改善を目的に、介護報酬が4月から改定されます。過去2回はマイナス改定でしたが、今回は介護福祉士など専門性を評価し、3%のプラス改定になりました。果たして、処遇改善に結びつくのでしょうか。

 厚生労働省は、今回の介護報酬改定の大きな目標に、介護労働者の人材確保と処遇改善を掲げました。その柱は(1)負担の大きい業務への報酬評価と経営効率化(2)介護福祉士などの専門性の評価(3)都市部など地域による人件費への対応−です。

●実情踏まえ効率化

 経営効率化など具体的な改定点を見てみましょう。

 居宅介護支援では、ケアマネジャーの担当する案件が従来、百件といった過剰なケースもあり、きめ細かなケアプランなどの作成に問題があると指摘されました。このため、ケアマネの担当する案件が四十件以上になると、報酬が一件目から減額されてきました。

 居宅介護支援は、独立性と公平性が基本です。しかし、大半が赤字経営で独立性という面で問題があります。経営安定化のため、減額を見直しました。

 今回、減額を四十件目から行うことに改定し、実情に合わせつつ経営の効率化を図ることにしました。この結果、例えば「要介護3」以上の人を四十件担当している場合は、従来に比べ二十万一千五百円、同様に「要介護1、2」の場合なら十五万五千円、それぞれ介護報酬が上がります。

 訪問介護では、中心となる生活援助など短時間の介護サービスを再評価し、報酬を約10%アップしました。

 事業所の規模拡大による効率化も掲げました。例えば、通所介護サービスでは、一カ月当たり平均利用延べ人員が九百人超の場合、報酬をアップ。その半面、七百五十一人から九百人については報酬を下げました。

 介護施設系では、夜間業務の職員配置や看護体制などが充実している施設への報酬を上乗せしています。

●専門重視で手厚く

 一方、介護労働者の定着のため、介護福祉士や経験者などの専門性を持つ労働者を高い比率で雇用している事業所に報酬を上乗せしました。

 具体的には、一定以上の比率で介護福祉士のいる事業所について、報酬を加算する仕組みとし、▽三年以上の勤続経験者を雇用している事業所▽施設系では常勤職員が一定比率以上▽そのほか理学療法士、看護師など専門性のある人を配置している事業所−を評価しました。

 介護福祉士の国家資格を取得しているのに、介護分野に従事していない人は、約二十万人いるとされています。こうした人の介護現場への就職と、離職の多い現状を改善するのが狙いです。

 今回の報酬見直しは、プラス改定になったとはいえ、問題もあります。深刻な人材難への緊急対応として事業所への報酬上乗せ(加算)が中心にならざるを得なかったことです。

 介護福祉士やケアマネなどが評価されたことは、介護労働への意欲を高める点で一定の効果もありそうです。

 しかし、大目標とした介護労働者の賃金、処遇は本当に改善されるのでしょうか。介護分野の労働組合や与野党の一部には、今回の改定で介護職員の給与を「一律二万円アップ」といった期待があります。しかし、厚労省は「賃金や処遇は事業者と労働者の間で決めるもので、一律に一定金額が上がるものではない」としています。

 介護現場で働く人々の処遇改善の見通しには、不透明な点があります。

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