東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 生活図鑑 > 生活図鑑シリーズ・バックナンバー > 2009年の記事一覧 > 記事

ここから本文

【生活図鑑】

介護報酬改定と利用者(No.249) 負担増で利用抑制の恐れも

写真

 人材確保のため、介護報酬が初めてプラス改定されました。高齢化社会を迎える日本で、介護労働者の処遇改善は必要ですが、同時に利用者の負担も増加することになります。また、認知症などへの取り組みの必要性も高くなっています。介護保険の変更点をまとめました。

 事業者への介護報酬がプラス改定(3%、千百五十四億円)されたことで、サービスによっては利用者の負担額(原則一割)が、上がることになります。今回の報酬改定は介護福祉士など専門性のある労働者を高い比率で雇用している場合、報酬が上乗せ(加算)され、介護サービスの利用料も上がるため、三月まで受けていたサービスの自己負担が四月から増えるケースもありそうです。

 介護保険では、訪問介護、通所介護など居宅サービスを利用する場合、介護状態に合わせて介護保険を利用できる支給限度額が決められています。支給限度額の範囲内では利用者は一割負担し、限度額を超えると、全額自己負担になります。

●高齢者保険料軽減も

 居宅サービスの利用状況を要介護状態でみると、重くなるにつれ、利用率も高くなっています。平均利用率は約40−50%です。しかし、利用者の経済事情によって大きく差があるとされ、限度額以上にサービスを利用する人と、利用を抑制する人との差が大きいといわれています。

 厚生労働省では、中山間地域の利用者の負担を一割軽減するほか、経済的に困っている人への負担軽減措置を拡充します。しかし、「利用者の負担が実際、どうなるのか心配」といった声もあります。

 一方、六十五歳以上の介護保険料(一号保険料)は、二〇〇九年度から一一年度の全国平均の基準額で月額四千二百七十円(〇八年十一月第三週までの集計)になる見込みです。介護報酬がプラス改定されたことによる急激な保険料の上昇を抑制するため、当初一年間は増額分の全額、二年目は半額をそれぞれ国庫で負担します。

 保険料は各自治体が具体的に設定するものの、厚労省は全国平均の基準額は前期と同等になるとしています。

 四十歳から六十四歳が払う介護保険料(二号保険料)は、〇九年度平均で年五万二百四十六円になる見込みです。二号保険料は毎年改定され、市町村や企業の健康保険組合など各医療保険者が、医療保険料に上乗せして徴収しています。〇八年度からの伸び率は1・2%(六百十三円増)になります。実際の保険料は個人の所得によって異なります。サラリーマンの場合、労使で折半するため、月平均の保険料額は約二十五円増の約二千九十三円になる計算です。

●認知症対応を強化

 今回の介護報酬改定では、短期集中リハビリテーション、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、通所リハビリテーションでの中・重度認知症のリハビリ報酬を大幅に加算したり新設するなど、認知症への対応を強化しました。

 また、施設系を中心に若年性認知症対応のひとつとして介護報酬を厚くしました。

 認知症高齢者が二〇二五年には三百二十万人になる見通しもあり、認知症対策が欠かせません。一方で、報酬改定で、利用者の負担が予想以上に重くなる懸念もあります。認知症の人と家族の会は「利用者の負担増が、サービス利用の抑制につながるのではないか」との見解を示しています。

 介護報酬を上げれば、利用者の負担増にもなります。介護労働者の処遇改善と同時に、質がともなう介護を期待したいものです。

ご注文はこちらから
 

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報