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【生活図鑑】

要介護認定基準(No.251) 大幅見直し 募る不安も

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 要介護認定基準が大幅に見直されました。介護保険のサービスを受けるには、要介護認定を受けなければなりません。ところが新基準では従来に比べ、介護度が軽くなり、必要なサービスが受けられなくなるのではないか、との声もあり、関係者の間で波紋を広げています。

 要介護認定とは、介護保険サービスを受けたい人を対象に介護の必要性があるのか、どの程度の介護が必要かを判断することです。認定結果により要支援から要介護の段階が決まり、受けられるサービス(支給限度額等)が決まります。

 認定は調査員の訪問による「認定調査」を経て、コンピューターによる「一次判定」、さらに主治医の意見書などを参考に、市区町村の介護認定審査会(「二次判定」)で、介護度が最終判断されます。

●軽度判定へ誘導?

 今回、一次判定で使う調査データが二〇〇一年当時のものであることや、介護認定が煩雑で地域によって判断にばらつきがあるため、認定ソフトの更新など認定基準を大幅に変更しました。

 これまで一次判定で「要介護1相当」と判定したうえで、要支援2か要介護1および認知症について審査会で判定していたやり方を、一次判定から判別するようにしました。

 認定ソフトを更新した一次などの判定結果を検証した市町村モデル事業(〇八年実施)では、(1)軽度との判定が一次では19・8%だが二次では20・1%に増加(2)重度との判定が一次では22・6%だが、二次では16・7%に減少(3)旧ソフトを使用した従来判定との一致は、一次で57・6%だが、二次では63・2%−となっています。

 厚生労働省は、従来と大きな違いはない、としていますが、新基準では「軽度に判定されやすいのではないか」との不安が広がりました。

 〇九年に入り、認定調査項目の基準となる「調査員テキスト」が市区町村に配られ、混乱はさらに深まりました。

 新基準では、認定のばらつきをなくすため、目で見える状況での判断を優先。この結果、重度で寝たきりの人を対象にした「移動・移乗」の項目では、寝たきりのため、介助の必要がないとされ「自立」と判断されることが判明しました。

 買い物の調査項目では、認知症であっても商品を選んで代金を支払うことができれば、不必要な買い物をしても「買い物ができる(介助なし)」と判断されます。

●新調査項目に批判も

 これに対し、高見国生・認知症の人と家族の会代表は「これでは、買い物でこそ介助が必要という認知症の現実とかけ離れていて、まったく理解できない」と批判。

 「座位の保持」ができるかできないかでは、従来の「十分程度の目安」が「座り方は問わず一分間が目安」に変わりました。新基準を検証した全日本民主医療機関連合会(民医連)は、「従来なら要介護3の人が要支援1になる結果も出た。軽度へ判定を誘導しているとしか思えず、さらに基準の見直し過程も不透明で見切り発車だ」と見直しを求めています。

 こうした批判に厚労省は「認定は調査、一次、二次判定を経て行われる。その全体の流れを見て評価してほしい」としています。認定調査基準への批判では「ばらつきをなくすためで、調査員が特記事項を付け加えることにより、二次判定で正確に判断される」と説明しています。

 ただ、寝たきりの人が自立になることについては、床ずれ防止で体位を変えるときに介助が必要とされることから「全介助」と判定するほか、買い物などについても「一部介助」を選択できるようにしました。

 介護認定の変更は、利用者に大きな影響をもたらします。混乱のないように進めてもらいたいものです。

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