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【生活図鑑】

有料老人ホームの現状(No.256) 無届け施設増加 指導強化を

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 群馬県渋川市で起きた老人施設火災を受け、有料老人ホームへの関心が高まっています。しかし、有料老人ホームに該当するのに無届けであるホームが全国に579施設あるなど、問題も多くあります。有料老人ホームの現状をまとめました。

 有料老人ホームは、介護保険導入時に三百四十九施設でした。二〇〇九年には四千百十施設と一一・八倍に急増しています。とくに、介護保険が利用できる介護付きホーム(特定施設入居者生活介護)を中心に増加してきました。

 一方、有料老人ホームの倒産などで、入居者保護の声が高まり、〇六年四月から有料老人ホームの基準を見直しました。以前は、常時十人以上のお年寄りを入所させ、食事などの日常生活に必要なサービスを行う施設なら、有料老人ホームとして都道府県への届け出が必要でした。ところが、入所十人未満の無届けホームのなかには問題施設もあるとの指摘も受け、「一人から届け出が必要」に変更しました。

●あいまいな判断基準

 厚生労働省によると、都道府県が有料老人ホームに該当するとしているのに無届けのホーム数は、全国に五百七十九施設(三月二十七日時点)ありました。地域的には東京都が百三施設、神奈川県六十施設、群馬県四十六施設など首都圏に多くありました。このほか、岐阜、愛知の中京圏、中・四国、福岡、沖縄などに無届けホームが多いとされました。

 しかし、東京都は「高齢者住宅など、都として疑わしいものをすべてカウントしたため百三件になった」としています。一方で、無届け施設がないとしている場合でも、北海道は「独自に百四十七件の施設をピックアップしたものの、有料老人ホームに該当するか判断が間に合わなかった」との理由で、無届けは「なし」としました。

 さらに、生活保護を受給する高齢者らが、無届けホームなど社会福祉法が適用されない施設に入所しているのは全国で一万四千二百六十八人。無届けホームがないと答えた北海道は千人を超える入所が確認されています。また、県外の施設に入所しているのは東京、千葉などで多くなっていました。

 これでは都道府県の基準や判断などが違い、無届けホームの実態が解明できたとは言えません。

●前払い金の保全義務

 有料老人ホームは届け出以外にも(1)帳簿の作成・保管義務(2)重要事項説明書の作成(3)前払い金の保全義務(〇六年四月以降に開所した施設)−などが求められました。

 総務省の行政評価(〇八年九月)によると、有料老人ホーム七十七施設を調査したところ、前払い金の保全義務がないものを含め、前払い金を受け取っていた五十七施設のうち、68%にあたる三十九施設は保全措置を講じていませんでした。また、前払い金の保全義務がある十六施設のうち四施設は保全措置を行っていませんでした。

 保全措置を講じていない理由は「銀行預託など保全する費用が高い」「信用力がなく銀行との契約ができなかった」などが挙がっています。

 厚労省は〇七年三月にも、有料老人ホームの入居者保護を図るため、都道府県知事に対し施設への指導・監督体制の強化を求めており、都道府県も計画的に立ち入り検査をすることになっています。 

 しかし、都道府県でも有料老人ホームの判断に悩む場合が多いのも事実です。前払い金の保全などが進むように、入居者保護の観点が求められています。

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