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【生活図鑑】

育休切り(No.270) 法で禁止 違反なら企業名公表

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 雇用情勢が厳しさを増す中、育児休暇の取得者が解雇や契約打ち切りなどの不利益を被る「育休切り」が増加しています。失業の不安を抱えていは安心して出産できず、少子化は改善されません。現状と、育児・介護休業法の改正内容をまとめました。

 「経営が厳しいので職場復帰しても仕事がないと言われた」「復帰後は正社員でなくパートで働くように勧められた」「契約打ち切りのメールが突然来た」−。全国の労働局で育休切りの相談が増加しています。厚生労働省によると、二〇〇八年度に寄せられた相談は千二百六十二件で、前年の一・四倍、五年前の二・一倍に増えました。妊娠や出産、産休を理由とした不利益の相談も二千三十件にのぼり、やはり五年前の二倍以上です。

●不況で人員削減加速

 金融危機後の世界同時不況の影響で、これまで「雇用の不足感」を感じていた企業が一転して「過剰感」を募らせました。企業は派遣社員を中心に人員削減の動きを強め、立場の弱い育休取得者をも直撃した格好です。育休切りの“被害者”も乳児を抱えて身動きがとれない中、会社ともめたくない、再就職の妨げになるのが怖い−などの理由で泣き寝入りも多くあります。

 育児・介護休業法は育休の申請や取得などを理由に不利益を生じさせることを禁じています。具体的には▽解雇▽有期契約労働者の契約不更新▽正社員を非正社員とするような契約内容変更の強要▽不利益な配転−などが禁じられています。

 今回の同法改正では企業が育休切りなどの違反をして同省の勧告にも従わない場合、企業名が公表されます。実態解明のための報告をしなかったり虚偽報告をした場合、二十万円以下の過料となります。また契約内容に関するトラブルを避けるため、育休期間を明記した書面の交付が義務化されます。

●就業継続は低コスト

 育休取得者を雇い続けることは企業にとって不利益とも思われがちですが、内閣府の試算で逆の結果が出ています。女性労働者が(1)出産退職し中途採用者を補充(2)就業継続して育休を取得し復帰後は短時間勤務−のコストを比べた場合、(2)の方が費用を抑えられます。状況に応じて実際のコストは変わりますが、出産までに培われた当該従業員の知識や経験の損失が防げる点も、企業にとって利点となるはずです。

 両立支援などに詳しいニッセイ基礎研究所副主任研究員の天野馨南子さんは女性労働者に「両立支援の法整備の動向を追い、自分なりの防衛策を頭に入れながらキャリアステージに出産を取り入れて」と助言しています。

 育休切りなどに直面した場合、相談窓口は各都道府県の労働局です。

  制作・杉戸祐子

  デザイン・佐藤圭美

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